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高校生による「太鼓の達人」盗難事件、“転売目的”報道を中古販売業者に聞くと……

5/22(水) 5:59配信

デイリー新潮

北朝鮮やテロ組織が欲しがる「基板」

 一方、検索エンジンで調べてみると、アーケードゲームの中古を売買する専門店が表示される。「太鼓の達人」はここでも人気商品らしく、ある店では「太鼓の達人11」が30万円で売られていた。事情をよく知る関係者に取材を依頼した。

「私の知る限り、『太鼓の達人』のパーツがオークションサイトに出品されることは少ないと思います。一方、アーケードゲームの中古市場では非常に人気があります。背景にあるのは2011年以降、『太鼓の達人』を稼働するにはインターネットに接続する必要が生じたという点です」

 筐体自体は5年でも10年でも保つ。だが、客は最新のヒット曲で太鼓を叩きたい。このニーズに合わせ、毎年のように作り替えるのは、メーカーにもゲームセンターにも効率がよくない。これを解決したのがネット接続だという。

「ネットを使い、筐体に曲をダウンロードさせるようになったのです。これで曲の入れ替えが容易になりましたが、この変更で困るゲームセンターも出てきました。この筐体を店に置くためには、バンダイナムコさんから新品の『太鼓の達人』を購入する必要がありますが、正直なところ、資金力がないお店も少なくありません。そこで私たちがネットに接続する必要のない、古い『太鼓の達人』を30万円程度で販売すると、喜んで買ってくれるゲームセンターがあるということです」(同・関係者)

 大阪に本社を置く「バリーポンド」はゲームセンターを運営するほか、アーケードゲームなど“中古アミューズメント機器”の販売や買取、リースなどを行っている。同社の担当者によると「中古の『太鼓の達人』は、ゲームセンター以外にも販売先があります」と説明する。

「例えば、旅館やホテルが宿泊者サービスのために、中古の『太鼓の達人』を設置されることがあります。ゲームセンターではありませんから、ネット接続が必要な最新型はオーバースペックであり、予算オーバーになってしまいます。そこで中古の出番というわけです。あと意外にニーズが高いのは福祉関係ですね。例えば、ボケ防止のため、高齢者にプレイしてもらおうと購入してくださいます。こちらも最新ヒット曲でバチを叩く必要はありませんから、中古品がぴったりなんですね」

 前出の井上トシユキ氏は「結局のところ、アーケードゲームもゲームセンターも、業界としては右肩下がりになっているのが最大の原因です」と指摘する。

「ゲームセンターは家庭用ゲーム機の高性能化でじりじりと押され、スマートフォンの普及でとどめを刺されました。ゲーム機に100円を払う消費者は少なくなり、多くの人は無料のネットゲームを圧倒的に支持しています。店を畳むゲームセンターが増えており、そのために中古品が出回っているのです」

 オークションサイトを見れば、パーツの出品も少なくない。例えば、アーケードゲームの基板に数万円の値段が付けられている。これはゲームマニアが買うだけではない。“密輸品”として高額取引されるケースもあるという。

「最新型ではないにしても、回路には高性能のICが使われています。北朝鮮や中東のテロ組織にとっては、喉から手が出るほど欲しいものです。おまけに捨てられる基板は産廃として扱われることが少なくなく、輸出時に『鉄くず』と言い張ることも可能です。つまり、IC輸出を隠蔽できるわけです。私は以前、中古ゲーム機を扱っている方に話を訊きましたが、目隠しをされ、現在地が分からない状態で取引したこともあったそうです。実はアーケードゲームの中古市場では、スパイ小説の世界がリアルに展開されていたりします」(同・井上氏)

 もちろん愛知県の少年は太鼓を盗んだだけであり、筐体を強奪したわけではない。こうしたことからも転売目的は考えにくい。愛知県警の調べに対し、正直に供述しているのだろう。

「『太鼓の達人』の太鼓だけ、バチだけをネットオークションで売っても、買い手は少ないでしょう。また中古アーケード市場なら、ゲームセンターから買取の要請があり、それをゲームセンターに売るのが取引の大半です。一般の方が『太鼓の達人を買ってください』と連絡してきたら、反射的に盗難を疑うと思いますね」(前出の関係者)

 バンダイナムコアミューズメントに文書で取材を依頼すると、次のようなやり取りとなった。

Q:デビュー以来、筐体の製造(販売)累計は? 

A:出荷台数につきましては非公表とさせていただいておりますが、全国のゲームセンターで約4千台以上が稼働しております。

Q:未だに人気が衰えない理由を、どのように分析しておられますか? 

A:本物の和太鼓を叩いているような気分が味わえること、譜面に合わせて叩くだけのシンプルなゲーム性、人気曲や旬な楽曲が定期的に提供されることが多くのお客様に長く支持されている点と認識しております。

Q:ゲームセンターの店舗数が減少していますが、「太鼓の達人」の筐体は、1年にどれくらいの個数が製造されていますか? メンテナンスの対応などが厳しくなっているとの声も聞かれますが、いかがでしょうか? 

A:年間何台という形で安定的に生産しているものではございません。一般的に業務用ゲーム機器は限定的な市場ということもあり、
新製品発売時の受注状況などをもとに生産数が固まるケースが多いためです。

Q:先日、愛知県警で「太鼓の達人」を盗んだ少年たちが逮捕されましたが、人気を背景とした盗難事件の多発を、耳にされたことはございますか? 

A:今回の事案を受けて情報収集を進めております。

 以上が一問一答だ――もしや少年たちは、家で練習するために盗んだのか。

週刊新潮WEB取材班

2019年5月22日 掲載

新潮社

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最終更新:5/24(金) 13:30
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