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新型「eKクロス」が起こす軽自動車の下剋上

5/22(水) 17:00配信

日経ビジネス

 日本の自動車業界を震撼(しんかん)させた三菱自動車工業の「燃費不正事件」。このコラムでも「やり切れない三菱自動車の燃費偽装」として取り上げたが、まさにその震源となったクルマが今回取り上げる三菱自動車の軽自動車「eKシリーズ」と、その兄弟車種である日産自動車の「デイズシリーズ」だった。その不正の内容は、先に挙げたコラムをご参照いただきたいのだが、この事件がきっかけとなって三菱自動車がルノー・日産グループの一員となったことは読者の皆さんもよくご承知のことと思う。

新型eKシリーズのパッケージの新旧比較。新型eKシリーズはエンジンルームを65mm短縮し、その分室内を広くした(資料:三菱自動車工業)

 そしてその事件は、日産をはじめスバルやスズキをも巻き込む完成品検査における不正が発覚するきっかけにもなった。さらに、三菱自動車の燃費不正の背景となったのが過度の燃費競争だったこともあり、その後自動車メーカー間でわずかな数値の差を競うような燃費競争が影をひそめたことも、この事件の影響といえるだろう。

 そのeKシリーズ(と日産のデイズシリーズ)がこの3月末に全面改良された。日産と三菱自動車の軽自動車事業における関係は、三菱自動車のeKシリーズのOEM供給を日産が受けるところからスタートしたので、先代のeKシリーズは三菱自動車が開発主体となっていたが、新型eKシリーズは日産が主体となる新たな体制で開発が進められた。その結果、プラットフォーム、エンジン、変速機といった主要なコンポーネントはすべて新開発となり、文字通り全面的に新しいクルマに生まれ変わった。

 日産のデイズが、標準仕様とハイウェイスターという二つのシリーズで構成されるのと同様に、eKワゴンも二つのシリーズで構成されるのは先代と同様だ。先代の名称は「eKワゴン」と「eKカスタム」で、カスタムのほうはスポーティーさを前面に押し出したデザインを採用していた。これが今回はeKワゴンと「eKクロス」という名称に変更され、eKクロスはSUV(多目的スポーツ車)的なテイストに改められた。

 このeKクロスは、以前のこのコラム「新型『デリカD:5』はディーゼルだけで大丈夫なのか?」でも、新型デリカD:5と並べた写真を紹介しているのだが、最近の三菱車に共通する「ダイナミックシールド」と呼ぶフロントデザインを採用している。これは、四角い大型のグリルを正面に置き、上のほうに一見ヘッドランプに見えるような細長い車幅灯を配置し、本来のヘッドランプはグリルの両側に縦に配置するというものだ。最近のミニバンはどのメーカーの車種も大型のグリルを採用した存在感の強いデザインを採用する場合が多く、三菱自動車のダイナミックシールドもその文法に沿っているのだが、デザインが直線的なので、「威圧感」というよりも機能的な印象が強く、それが三菱車の個性とマッチしていると思う。

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最終更新:5/22(水) 17:00
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