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デカトロンにも冷静 アルペンがオープンした「世界最大級の店舗」のスゴさ

5/22(水) 6:00配信

日経クロストレンド

アウトドアをブームで終わらせず、文化として定着させる

 ECの台頭で実店舗の苦戦がもはや“常識”と化している今日、中でもアウトドア用品はECでの購入率が高いジャンルだ。ECとの競合を問われた二十軒氏は「どこで買うかを選ばれるのはお客様。ECサイトがよいとなればそれを否定しない」と答えた。

 柏店で実物を手に品定めをして購入を悩み、帰宅後に「やはり欲しい」とECサイトで買う。そういった“ありがちな展開”も二十軒氏は容認。そのうえで、買ったはいいが使い方が分からない、思っていたものと違う、必要なかった、といった「アウトドアへの興味をも失うような“購買後の落胆”を防ぐことのほうがより重要だ」と語った。

 結果的にECで購入する客であっても、柏店をはじめとするアウトドアーズやマウンテンズの店頭で商品に触れ、「その価値を感じてほしい」(二十軒氏)と話す。そこにあるのは「アウトドアを一過性のブームで終わらせず、文化として定着させる」(水野社長)というアルペンの“覚悟”だ。

 昨今はアウトドア関連では新規出店や売り上げの増加といったにぎやかなニュースが聞かれ、確かにブームと呼んでもいい状況にある。それを一歩進めて、文化として定着させるために出した同社の答えが「購買体験の価値を高めることの追求」であり、実現に向けた最も分かりやすい“場”が柏店というわけだ。

 前述のような“落胆”を顧客に感じさせないために、重要なのが接客だ。どんなに手軽であっても、アウトドアでの遊びは油断や不幸な偶然が命の危険に直結しかねない。登山やバックカントリースキーの道具まで扱う柏店ではなおのこと、使用者に適した道具の提案と正しい使い方の教授、安全の啓発ができるだけの知識がスタッフに求められる。そのためアルペンではアウトドアーズを展開するに当たり、以前からスタッフ教育に注力していたという。

 10万点という品ぞろえも、購買体験を高めるための施策の1つ。柏店オープンに当たって、アルペンはかなりの時間をかけて商品の確保に努めてきた。その甲斐もあって、メーカーにも在庫が存在しないようなアイテムでさえ、「ここでなら買える」ケースがあるとのこと。

 柏店オープンに向けたこうした取り組みは、同業他社に対する圧倒的なアドバンテージと自信にもつながっている。「品ぞろえやスタッフ教育など、他社が同じことをしてもまねできるようなものではない」(二十軒氏)。春日井店開店からの1年間で得たものの大きさを考えれば、他社が同様の店を開いた頃には、自分たちはもっと進化しているはずだという確信があるのだ。

●デカトロンやワークマンとは「向いている方向が違う」

 デカトロンの日本進出や、ワークマンプラスの躍進などについて問われたときも、二十軒氏は非常に冷静だった。両社ともプライベートブランド(PB)を専門とするメーカーで、特にワークマンプラスはアパレルだけを軸に展開。アルペンとは「向いている方向が違うと感じている」(二十軒氏)とのこと。

 ショップインショップをはじめ、定評あるナショナルブランド(NB)の商品を幅広くそろえ、見て、触れてもらうことで「こんなこともできるかも」「あんなことがしたい」と感じさせるのがアルペンのやり方だ。「そういうスタンスで展開しているからこそ、遠方から足を運んでもらえる店になっている」と二十軒氏は自信をにじませる。

 ちなみにアルペンも「IGNIO」や「kissmark」といったPBを展開しており、柏店でもさまざまなIGNIO製品を販売している。アルペンは価格や機能、用途などの面において、NBではカバーできないような製品をPBで展開しているとのこと。「顧客から求められるものを製品化する」(二十軒氏)のがポリシーで、デカトロンやワークマンプラスへの対抗策として活用する意図はないようだ。

 二十軒氏はSNSで見た「雨が降ってキャンプに行けないからアウトドアーズへ行こう」という書き込みを引き合いに出し、「(アウトドアーズには)キャンプに行くのと同じ感覚で来店していただけている。アウトドアの世界観に浸りたい客に体験を提供できている」(二十軒氏)と手応えを感じており、柏店でもその成功を確信しているようだ。

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最終更新:5/22(水) 6:00
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