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朝ドラ『なつぞら』 アニメ業界を舞台にした理由

5/23(木) 7:47配信

NIKKEI STYLE

連続テレビ小説(朝ドラ)100作目となる『なつぞら』は、終戦直後から始まるヒロインの成長物語だ。アニメ業界を舞台にした理由など、番組の狙いを制作者に聞いた。


物語は1946年の初夏、戦争が終わった翌年からスタートした。主人公の奥原なつ(広瀬すず/子ども時代は粟野咲莉)は、戦死した父の戦友・柴田剛男(藤木直人)に引き取られ、剛男が家族と暮らす北海道・十勝に移り住む。厳しい自然環境のなか、酪農を営む柴田家で牛馬の世話を懸命に手伝いながら生活し、なつは子どもらしさを取り戻す。やがて絵の上手な同級生の天陽(吉沢亮)から「漫画映画」の存在を教えられ、絵を描く仕事に夢を持ち始めて上京。日本で産声をあげたばかりのアニメーション業界に就職して、みずみずしい感性を発揮していく。

■アニメを支える人々を描く

制作統括を務める磯智明氏は、以前からアニメ業界をドラマの題材にしたいと考えていたと語る。「日本のアニメーションは世界的に注目されていますし、その歴史をひも解く作品を作ってみたいと思っていました。草創期である50年代の後半から、すでに女性のアニメーターやセル画を彩色する人たちが多く参加されていたそうです。アニメは監督が注目されることが多いですが、ものすごい人数のアニメーターの力があって完成する。裏で支えている人たちを描きたいというのが、今回の企画の始まりでした」。

脚本は、『てるてる家族』(03年)に続き朝ドラは2回目となる大森寿美男。ヒロインが自分で人生を切り開く物語をということで、後ろ盾がない「戦争孤児」の設定にした。「これは大森さんのアイデアです。なつの世代に当たる60年から70年代のアニメは、『あしたのジョー』や『みなしごハッチ』、『タイガーマスク』など、親がいない主人公が多い。戦争で傷ついた子どもたちに向けての励ましで、物語が作られていたという記述も結構多く残っているんです。ヒロインもそのような設定であれば、より物語に入りやすいのではと考えました」(磯氏、以下同)。

なつのひたむきさや、周囲の優しさがストレートに描かれ、笑いと涙の要素がふんだんに盛り込まれている。ストーリーとしてはあまりひねらず、王道の成長物語を意識して制作しているそうだ。「身寄りがないというところで重なる『おしん』(83年)は丁稚奉公に出されますが、行った先がつらかった。でももし、温かな家庭に迎え入れられたらどうだろう、というような話は大森さんとしました」。

ビジュアル的には新鮮味もある。なつがアニメ業界に飛び込むのは第8週以降であり、アニメーターになるのはもっと先になる。題材がアニメだということを視聴者に覚えてもらうために、朝ドラとしては珍しく、オープニングを全編アニメーションにした。「なつが将来作るアニメはどういうものなんだろうと大森さんと打ち合わをしたのですが、『世界名作劇場』は外せないという話になったんです。高畑勲さんや宮崎駿さんら、そうそうたる方が高い志を持って取り組んでいたので、そんな感じを連想させられたらワクワクするのではということで。様々な資料を基に、お2人のタッチに近付けて作った面はあります。監督・原画・キャラクターデザインを担当した刈谷仁美さんは22歳ですが、当時のアニメーターの方々へのオマージュを込めています」。

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最終更新:5/23(木) 12:15
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