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内戦で消えたライオン、なるか史上最大の復活作戦

5/23(木) 7:11配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

モザンビークの野生ライオンとスピリット・ライオン 前編

 その昔、ザンベジ川が流れるアフリカ、モザンビーク中央部の緑豊かな湿地帯に、トゾと呼ばれる狩猟民族が暮らしていた。村から少し離れた沼地にはバッファローが群れをなし、森にはゾウの足音が響き渡り、氾濫原ではライオンの群れが獲物を狩っていた。村を率いていたのは、偉大なる長のガラングイラだった。

ギャラリー:史上最大のライオン復活作戦、一挙に24頭を移動、モザンビーク 写真20点

 ある日、近隣の部族が大軍を送り込んできた。槍を持った12人の戦士がガラングイラの家を襲撃する間、残りの兵は近くで待機した。ガラングイラは勇敢に戦い、10人の敵を殺したが、あとふたりを倒すことができなかった。ガラングイラは槍を捨て、腕を上げて心臓の場所を示すと、さあ殺せと敵に告げた。敵の槍に貫かれて、ガラングイラは倒れた。

 ふたりの戦士がその場を去ろうとしたとき、突然、ガラングイラの体から大きなライオンが現れ、彼らの前に立ちはだかった。恐怖にかられたふたりの戦士は自軍の元へ逃げ帰り、不思議なライオンとトゾの人々の力について報告した。

 彼らの軍は、二度とトゾの村には現れなかった。

「ガラングイラの精霊のライオンは、今も近くにいて、わたしたちを守っています」。自宅の背後に広がる深い森の方を手で示しながら、ジョルジェ・トゾ氏はそう語る。彼はトゾ村の現在の長であり、ガラングイラの玄孫にあたる。

 トゾ氏は、本物のライオンを最後に見たのがいつだったのか、はっきりとは覚えていない。

 彼が子供のころには、ザンベジ・デルタの湿地帯にはたくさんのライオンの群れがいた。しかし、1977年から1992年まで続いたモザンビーク内戦の間に、ライオンの餌となる動物が乱獲されたことから、その数は激減した。ライオンの危機は、アフリカ各地で起こっている。野生のライオンの数は過去20年間で42パーセント減少した。その原因は多くの場合、生息地がなくなったことだ。

 2018年、保護活動家、土地所有者、篤志家、モザンビーク政府は、ライオンが暮らせる土地を200万エーカー(8000平方キロメートル)増やすという野心的な計画を打ち出した。彼らは南アフリカの保護区から健康な個体24頭を選定し、モザンビーク中央部に再び配置することを決めた。ライオンの再導入計画としては、史上最大の規模となる。

 ライオンの新しい家となる予定のマロメウ動物保護区は、トゾの村のすぐそばにある。

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