ここから本文です

日本代表、4-4-2は適正か(後編)。各ポジションを徹底診断。ボランチへの負担、最大の懸案は?【西部の目】

5/23(木) 10:20配信

フットボールチャンネル

キリンチャレンジカップ、コパ・アメリカ2019(南米選手権)に臨む日本代表メンバーが23日と24日に発表される。昨年7月に森保一監督が就任し、AFCアジアカップ2019では決勝で敗退したが新戦力も台頭。少しずつチームの骨格が見えてくる中、指揮官は一貫して4-4-2(4-2-3-1)を採用している。その理由とは? 前後編でお届けする。今回は後編。(取材・文:西部謙司)

【動画】日本、未来の布陣はこれだ! 4年後の日本代表イレブンを予想

●前編のCF、トップ下に続いて――

 2列目の左は中島翔哉。攻撃の切り札で代えの効かない存在になっている。ブラジル代表ならネイマールだ。中島がいれば、間受けも実はさほど問題にならない。サイドから1人かわして中へ入ると中央の味方はマークを外れるからだ。現在のコンディションを維持できるなら、カタール大会も中島が軸になる。

 ただ、中島には守備の問題があり、深く戻らせるのも得策ではない。中島の背後をカバーする方法をチームとして用意する必要があるが、今のところやっていない。いずれ中島ありきの構成を考えるなら、4-3-3-や3-4-2-1が浮上するかもしれない。

 トップ下が香川真司の場合は、ロシアワールドカップの名コンビだった乾貴士がいる。中島、乾とは違うタイプとして運動量豊富な原口元気もいる。左サイドは多くの候補がいて、他のポジションと同様に絞り込む段階ではないが、現時点では中島が図抜けている。

 右サイドの一番手は堂安律だ。中島と似たタイプで、堂安、中島、南野拓実の2列目トリオは攻撃の核といっていい。3人が組んだ最初の試合から息があっていた。代表らしい即興が効いていて短期間にまとまったトリオである。それだけに、もう親善試合で3人をセットで起用する必要はない。3人が機能することはわかっているので、異なる組み合わせを試すべきなのだ。

 コンビネーションの深化はいらない。実際、彼らは最初から合っていたわけで、代表は選手間の関係を深めるよりも広げるほうが先決である。左利きでカットイン型の堂安とは対照的に、右利きで縦への推進力のある伊東純也、堂安と似たタイプの左利きの久保建英、右でもプレーできる乾、原口など多くの候補がいる。

●ブラジル代表は3枚でバランスをとっていた

 ボランチは1人が展開力のあるプレーメーカー型、もう1人を守備力のあるタイプにして組み合わせている。プレーメーカー型は柴崎岳、小林祐希、青山敏弘が起用されてきた。大島僚太も候補の1人だろう。比較的人材に困らないポジションかもしれないが、長谷部誠が代表から退いて絶対的な選手はまだ現れていない。守備型のほうは遠藤航、守田英正、三竿健斗らがプレーしてきた。現時点では遠藤が最有力かもしれないが、こちらもまだ競争は続くだろう。

 現状で中島、堂安の両サイドが実質的にウインガーなので、ボランチ2人の守備負担はかなり重い。ネイマール、コウチーニョが両サイドで突破とゲームメークを担当していたころのブラジル代表は3ボランチにしていた。3枚でないとバランスがとれなかったわけで、中島の件と合わせるといずれ4-4-2は維持できなくなるかもしれない。

 サイドバックは右の酒井宏樹、左の長友佑都が実力、経験ともに抜きんでている。ただ、資質的に日本人に向いているポジションなので層は厚い。室屋成、佐々木翔が現状の二番手。長友とよく似ている吉田豊、親善試合で招集された安西幸輝、山中亮輔など、左サイドは充実している。

 日本で最も層の薄いポジションがセンターバックとGKである。ロシアワールドカップでベルギーのハイクロスに流れを変えられて逆転負けしたことを振り返っても、最大の強化ポイントといえる。ポジションとしてセンターバックとGKが弱点なのは単純に体格の差が大きい。Jリーグのプレースタイルの影響もある。長身選手は増えてきたが、まだ層は薄く、ヨーロッパで活躍している選手も少ない。

 センターバックは冨安健洋の台頭があった。高さやパワーでヨーロッパのセンターバックと比べても見劣りせず、スピードも技術もある。年齢も若く、代表の守備の中心となるべき選手だ。ロシアワールドカップのレギュラーで唯一の国内組だった昌子源もトゥールーズへ移籍して経験を積んでいくだろう。重鎮の吉田麻也のほかにも、若手がヨーロッパでプレーしており、三浦弦太などJリーグでもサイズのあるセンターバックが増えてきたのは良い傾向だ。

●最初の2年は種を蒔く期間

 一方、GKは目下の懸案事項だろう。川島永嗣の後継者としては権田修一、東口順昭がいるが、今後は攻撃力が求められるようになると思う。センターバックは確かに大型化しているが、空中戦で優位性があるほどにはならないと考えられるからだ。ベルギー戦のようにハイクロスで攻め込まれた場合、それを正面から跳ね返すとともに、ボールをキープして押し返し、相手の攻撃のリズムを切ってしまう戦い方が必要になる。

 GKがリスク回避のロングボールを多用しているようでは難しく、GKも含めて後方からパスをつないでいくビルドアップの向上が必須である。足下の技術が高いGKとしてはシュミット・ダニエル、西川周作、高木駿がいる。大迫敬介、前川黛也など新世代も出てきた。

 しかしGKに求められるのは第一に守備力であり、攻守をハイレベルで兼ね備えたトップクラスのGKとなると該当者がいないのが現状だ。その意味では横一線であり、森保監督がカタールワールドカップを踏まえてどこまでリスクをとるかにかかってくる。

 チーム作りとして、最初の2年は種を蒔く期間になる。多くの選手を試し、可能性をできるかぎり広げておく。東京五輪後の2年間がチームとしての可能性を探る時期になるだろう。そこではさまざまな選手の組み合わせとともに、フォーメーションも多様化させるのではないか。均質型の日本にとって、対多様性はワールドカップを勝ち抜くためのカギになるからだ。そのときは4-4-2だけではなく異なるフォーメーションが使われるはずだ。

 最終的に選抜する選手が決まり、フォーメーションも2つぐらいに絞り込まれるだろう。4-4-2の是非を問うなら、その段階になる。

(取材・文:西部謙司)

フットボールチャンネル

最終更新:5/23(木) 10:20
フットボールチャンネル

記事提供社からのご案内(外部サイト)

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事