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映画『Captive State』が描くエイリアンの侵略は、「起こり得る未来」への“警告”だ:映画レヴュー

5/23(木) 12:30配信

WIRED.jp

映画『Captive State(キャプティヴ・ステイト)』が描くエイリアンによる米国の侵略は、市民の自由権をコントロールしようとするトランプ政権を彷彿させる。抑えの利いたトーンで“警告”するのは、どんな未来か──。『WIRED』US版によるレヴュー。

抑えの利いた揺さぶり

この世界は、ある不均衡に苦しんでいる。「レジスレイター」と呼ばれるエイリアンの支配者が、地球を侵略しているからだ。「平和」「団結」「調和」という偽りの約束を掲げて──。

政権は奪われ、軍は動員を解かれ、都市は要塞に囲まれていた。最後の希望も完全に絶たれ、そこには恐怖と征服が渦巻いている。社会は取り返しのつかないほど分断してしまった。貧しい者と富める者との隔たりは、とうてい埋められないほど大きい。

厳しく抑圧された時代、その風潮が民主主義にも影を落としている。「アメリカ合衆国」は、いまやその姿をUnited “State” of Americaに変えてしまった。

これらの風景は、ルパート・ワイアットが監督した映画『Captive State(キャプティヴ・ステイト)』[編註:2019年3月29日に米国で公開、日本未公開]で物語られている。すべて現実世界における社会の不安を反映したものだ。

野心的な試みが折々に散りばめられたこの作品では、政治に対する危機感が静かに生まれ、やがて人々の間に広まっていく。それは、ドナルド・トランプ大統領による不安定なかじ取りがこのまま続くことで、米国民がいつか直面する社会かもしれない。

マッチを擦れ、闘争に火をつけろ

全体主義の空気に包まれ、ひどく荒廃したシカゴの街。そこで、ひとつの炎が揺らめている。「フェニックス」という反乱グループが、シンプルなメッセージで反体制派を目覚めさせた場面だ。

マッチを擦れ、闘争に火をつけろ──。

エイリアンによる不正な支配に、多くの市民が疲れ果てていた。ガブリエル・ドラモンド(『ムーンライト』出演のアシュトン・サンダース)もそのひとりだ。「データ矯正センター」で働く彼は、機転は利くがしばしば考えの甘いところもある青年である。

貧困ラインぎりぎりのところで単調な生活を送っていた彼は、何かしら状況を打開するパワーのようなものを必死でつかもうとしていた。そして、自身はもちろん親友のユルギス(マシン・ガン・ケリー)や、「常に監視されている生活」を喜んで受け入れているように見えるガールフレンドのために、厳重に警備されたシカゴの壁からの脱走を試みる。

その計画はほぼ不可能にしか見えないが、後戻りはできない。マッチはすでに擦られたのだ。

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最終更新:5/23(木) 12:30
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