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「平成の消費不振」って本当? 増えたのは「手応えない支出」

5/23(木) 8:10配信

NIKKEI STYLE

《連載》教えて 消費のギモン

●始まりと終わりで消費支出額はほぼ同じ
●医療費や通信費が増え、被服代は大幅減
●手応えのなさが消費不振の感覚を増長か

平成とはどんな消費活動をしていたのでしょうか。失われた10年、20年などとも言われた平成。低迷や不振と言われ続けた平成の消費は本当にそうだったのでしょうか。プレイバック平成の消費。主婦の消費花子さんに田中陽編集委員が解説します。

今週の先生:田中陽編集委員
消費花子:小学校1年の娘がいる専業主婦。36歳

■平成元年と平成29年、消費支出額にほぼ変わりなし

田中さん:花子さんは平成元年(1989年)がどんな時代だと思いますか。

花子さん:バブル時代ですよね。とっても景気がいい時代だと聞いたことがあります。

田中さん:その通りです。では平成29年(2017年)と平成元年の消費を比べてみましょうか。家計調査(総務省)で17年の月平均の消費支出額(2人以上の勤労者世帯)は31万2926円でした。平成元年はどれくらいだったと思いますか。

花子さん:景気がよかったので40万円は超えていたのではないですか。

田中さん:いえ。31万6489円です。17年とほとんど変わりないのです。この消費支出を世帯人員(一世帯にいる人数)で割った1人当たりの消費支出金額にすると、17年は9万3410円に対して89年は8万5077円となります。

花子さん:信じられません。当時はDCブランドといった高価な洋服を買い、新しい家電製品も手にしていたとニュースで見たことがあります。

田中さん:確かに消費活動は旺盛でした。89年の被服及び履物の支出額は2万2577円で支出全体の7%強を占めていましたが17年では1万3206円で4%強まで減っています。被服及び履物は91年の2万4451円がピークです。ピークから45%減です。減少の理由はわかりますか。

■急増した交通・通信、保健医療

花子さん:90年代に「ユニクロ」「無印良品」などが登場したからですね。家電製品はどうですか。平成はエアコン、高機能な冷蔵庫や洗濯機が登場したり、薄型テレビ、パソコン、スマートフォン(スマホ)が普及した時代ですよね。

田中さん:エアコンや冷蔵庫、洗濯機を含む家具・家事用品は、17年は1万965円で89年比で11%も減りました。薄型テレビやパソコンを含む教養娯楽費は3万560円で3%増にとどまっています。低価格を売り物にしたヤマダ電機やヨドバシカメラなどが躍進したことも大きいです。では平成に急激に増えた消費は何だと思いますか。

花子さん:恐らくスマホの通信やデータ料なのでしょうか。

田中さん:その通りです。こうしたものを含む交通・通信は17年では4万9496円で89年に比べて53%も増えています。保健医療も平成の時代に支出が増えています。17年と89年を比べると42%増の1万1511円です。

花子さん:保健医療への支出が急増しているのは高齢化の影響もあるのでしょうね。

田中さん:家計調査に協力する世帯主の平均年齢は89年の44.1歳から17年には49歳となっています。高齢化は否めません。健康意識の高まりでサプリメントなどの購入が増えていることも背景にあります。

花子さん:平成の初めと平成の終わりの消費支出があまり変わらないのに、なぜ消費は不振とか低迷と言うのですか。

田中さん:おそらく、自分の意思が明確に働いて消費する金額が少なくなっているからだろうと思います。保健医療の支出は病気になったからやむなく支出するケースが多いですよね。光熱・水道、交通・通信のような公共料金への支出も同様です。この2つの費目は89年には消費全体の15%でしたが17年には22%まで増えています。手応えがない支出が増えたことが不振とか低迷というイメージになっているのでしょう。税金や社会保険料の引き上げによる非消費支出の伸びや将来の生活に備えた貯蓄を殖やそうとする動きも背景にありそうです。

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最終更新:5/23(木) 10:06
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