ここから本文です

阪神・淡路大震災が契機に…マンション建替え円滑化法の概要

5/23(木) 9:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

一戸建ての特家住宅や賃貸住宅と並んで、ごく一般的な住宅となっているマンション。そのため、私法としても、「マンション法」は重要な法分野となっています。本連載は、早稲田大学法科大学院教授・鎌野邦樹氏の著書『マンション法案内 第2版』(勁草書房)より一部を抜粋し、マンション購入の基礎知識、居住地の財産関係をはじめとした法律問題をわかりやすく解説します。本記事では、マンション建替え円滑化法の概要を見ていきます。

マンション建替え等円滑化法

(ア)建替え事業の円滑化

阪神・淡路大震災後のマンションの復興の過程では、建替え決議が成立したものの(実際には約100棟のマンションにおいて建替えがなされました)、その後、従前の建物を取り壊し、新たな建物を建築するまでさまざまな法的問題が生じました。

特に、建替え決議の後において、建替えに参加する区分所有者の団体には法人格がないこと、および従前の建物の専有部分に抵当権が存在する場合や賃借人がいる場合には、抵当権者や賃借人との権利の調整が必要なことが、円滑な建替えを阻害する要因であることが認識されました。これらの点は区分所有法の外の問題であり、同法とは別の立法によって適切な措置を講ずる必要がありました。

そこで、被災マンションだけではなくマンションの建替え全般について、建替え決議後の建替え事業を円滑に進めることを目的として、2002(平14)年6月にマンション建替え円滑化法が制定されました(施行同年12月)。

(イ)耐震強度不足マンション

耐震強度が不足している高経年マンション(建築基準法上の旧耐震基準は満たしているものの、現行の耐震基準は満たしていないマンション)については、それをそのままにしておくことは、居住者の生命にもかかわりますから、耐震改修か建て替えることが求められます。

しかし、老朽化が進行している場合等は耐震改修のための費用をかけても効率的ではなく、そうかと言って建替えのためには多額の費用が必要です。

そこで、このような耐震基準を満たさないマンションについては、「マンション建替え等円滑化法」の2014年改正によって、マンションとその敷地の売却を、全員の合意がなくても、集会における区分所有者および議決権の各5分の4以上の特別多数決議で行うことができる制度(「マンション敷地売却制度」)が新設されました(改正によって、「建替え」のみを定めた法律ではなくなったことから、同法律の名称に「等」が加えられました)。

これにより区分所有者は、その売却代金から分配金を得て、その金銭をもって新たな住宅を購入したり賃貸することになります。売却されたマンションは、その買受人によって除却され、買受人は、その敷地を自己の目的(マンションを建築することも含む)に従って開発することになります。

このマンション敷地売却決議のためには、建築物耐震改修促進法に規定する耐震診断を受ける必要があり、その結果、耐震基準に適合しないとされたマンションについて、管理者等が行政に申請をして「要除却認定マンション」の認定を受けることが必要です。

この認定は、「要耐震改修認定建築物」の認定基準と同じですので、管理組合としては、建替え等円滑化法に基づくこのマンション敷地売却ではなく、建築物耐震改修促進法に基づく過半数決議(区分所有法の定める4分の3以上の特別多数決議の要件が緩和されます)による耐震改修(25条3項)の方を選択することもできます。

1/2ページ

最終更新:5/23(木) 9:00
幻冬舎ゴールドオンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

富裕層・企業オーナー必読!「知識武装し、行動する」ためのWEBメディア。「資産防衛」に関する最新情報とノウハウを配信!

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事