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「おことば」を修正させた安倍政権<伊藤智永氏>

5/23(木) 8:31配信

HARBOR BUSINESS Online

象徴天皇制を続けるか、それともやめるか

―― 平成は終わりましたが、上皇陛下の問いかけは残されたままです。

伊藤:上皇陛下の退位表明だった「象徴のお務めについてのお言葉」とは、「平成の象徴天皇制はどうでしたか。このまま続けますか。それとも、この際やめますか」という国民への問いかけだったのではないでしょうか。象徴天皇制は何もしないで漫然と続くのではない。それは絶えざる意思と思索、そして努力によってしか続かないものです。

 残念ながら、安倍政権はこの問いかけを素通りし、極めて場当たり的、ご都合主義的に対応するだけであり、国民も決して重く受け止めているとはいえません。確かに200年ぶりの譲位によって、国民は上皇陛下に感謝しながら、新しい天皇陛下の即位を素直に祝うことができ、「こういう御代替わりがあるんだな」としみじみ感じ入りました。その一方で、改元ブームはハロウィンのようなお祭り騒ぎに終わり、世相はどこか浮薄で厳粛さからは程遠い。

 特にショックだったのは、悠仁さまの学校の机に刃物が置かれた事件です。そういう事件が起きたことにも驚きましたが、それ以上に世論の反応の薄さに衝撃をうけました。未成年かつ現行制度では将来唯一の皇位継承者の命を狙った今回の事件は、昭和天皇(当時は摂政宮)暗殺未遂事件の虎ノ門事件に匹敵すると言っても過言ではありません。戦前ならば犯人は極刑、警視総監は即刻辞任です。しかし、政治も国民もこれだけの事件を悪質ないたずらの類いかアニメのサブカル的な話題として消費し、何事もなかったかのように平気で過ごしている。

 平成の30年で皇室に対する国民の支持は広がりましたが、その一方で何か大切なものが失われつつあるような不気味さを感じます。

―― 私たちは令和の時代も、上皇陛下の問いかけに答える努力を続けていかなければならないと思います。

伊藤:改元に際して、「平成は敗北の時代だった」という平成論が流行っていますが、これは数字やデータだけに基づく表面的な評価であり、皇室が象徴する時代の思想や精神を捉えたものとは言えません。平成像は数十年のうちに大きく変わっていくはずです。

 そして上皇陛下の問いかけは10年先、20年先にも繰り返しやって来ると思います。その度に、「ああ、陛下がおっしゃったのは、こういうことだったんじゃないか」と何度も気づかされるような、それほどの豊かさと深みを持った問いかけだったと感じます。後世、私たちは「あんな立派な陛下はいらっしゃらなかった」と思い出すことになる気がしています。

(聞き手・構成 杉原悠人)
提供元/月刊日本編集部
げっかんにっぽん●「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。

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最終更新:5/23(木) 8:31
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