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あえて杉岡大暉と齊藤未月に厳しく。心に響いた湘南チョウ監督の親心。

5/23(木) 11:01配信

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 常にストレートに物事を伝える人ではあるが、ここまで言うのも珍しかった。

 「齊藤未月と杉岡大暉のことは、しっかり書いてください」

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 約1カ月前、4月19日のこと。アウェイに乗り込んだ湘南ベルマーレは、等々力陸上競技場で川崎フロンターレと対戦していた。上位進出を狙う湘南にとって、調子の上がらない王者を破る絶好のタイミングだったと言っていい。

 しかし、立ち上がりこそ拮抗した展開に持ち込んだものの、結果は0-2の完敗。湘南のチョウ・キジェ監督はボールを奪った後のクオリティーに大きな差を見出し、試合後の会見で2人の若人の名前を挙げ、世代別代表の常連となっている彼らのプレーにあえて疑問を呈した。

 「杉岡(大暉)は、オリンピック、オリンピック……と言われていますが、あれだけ取ったボールを相手に渡しているようでは、とてもではないけど世界では戦えない。本人にもそれは伝えました。

 これは僕たち指導者、周りの仲間、もしくは皆さんマスコミの方も、選手たちのどこが良くてどこが悪いのかをちゃんと認識して彼らに伝え、良いプレーと悪いプレーを整理して、1カ月ではなくて1日で次へ伸ばすように持っていかないといけません」

「彼らは次のステージに……」

 試合を総括する場で指揮官はさらに続ける。

 「齊藤未月もそうですが、2人は我々のチームの次の世代を担ってもらわなければいけない選手でもあります。だけど、ボールを取られても追いかけない、走らないといったプレーを“自分の中で許せない”というプレーにしないと、彼らは次のステージに行けないと思います」

 記者陣の質問に答えるのではなく、自ら発した言葉。これまでもプレーを褒めたり、多少の否定をしたりする時はあったが、これほどまでに厳しく言う機会はそう多くない。

 ただ、こうやって誰かを矢面に立たせる時、指揮官の中にはいつも狙いがある。

監督に聞いた言葉の真意とは。

 数週間後、改めて会見で語った言葉の真意を尋ねてみた。

 「彼らはまだ若く、チームを勝たせていくためには自分たちが先頭になって一番ハードワークなどをしなければいけない立場なのに、ちょっとしたミスに対しての悔しさに安易な感じが見て取れた。『まぁ、いいだろう』みたいな感じです。

 全体的に試合に出ている緊張感が薄れてきたなと思っていたし、極端に言えば、このリーグでチームが負けても自分たちは評価を受けている。その評価の中にいれば何となくいいだろうみたいに感じているなら嫌だなと思って言いました」

 2人が、自分の立ち位置に落ち着いているように見えた。まだまだ成長するためにチャレンジしていかなければいけない、自分を律しながら常に上を目指さなければ世界の選手には追いついていけない。現状に慣れてしまっているように感じた指揮官は、もう一度自分たちの状況に気づかせる意味であの言葉を口にしていた。

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最終更新:5/27(月) 13:51
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