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仕掛け人が語る「一番ダメな2.5次元ミュージカル」とは…〈AERA〉

5/27(月) 11:30配信

AERA dot.

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 漫画やアニメ、ゲームといった2次元の原作を3次元で表現するから2.5次元。言い得て妙な呼称はファンの間で自然発生的に生まれたそうだ。きっかけと言われるのが2003年に初演されたミュージカル『テニスの王子様』(テニミュ)。2次元原作の舞台は以前からあったが、テニミュは何が他の舞台と違ったのだろうか。

「最初はホントに何の戦略もありませんでした。ただ、当時は男の子だけが出ている舞台はほとんどなかった。宝塚の逆パターンみたいな、男の子だけの美しい舞台ができたら成功するだろうとは思っていました」

 そう振り返るのはテニミュやミュージカル『刀剣乱舞(とうけんらんぶ)』のプロデューサーであり、日本2.5次元ミュージカル協会の代表理事、ネルケプランニング代表取締役会長の松田誠だ。原作はテニス部の少年たちが全国大会優勝を目指す少年漫画。松田は当時振付師として活躍していた上島雪夫を演出家として迎え、テニスの試合をどう見せるか考えた。まず思ったのは男子がラケットを持っただけで絵になること。ボールの動きは丸いピンスポット照明で表現し、打球音をつけた。キャストは華麗なダンスとともに、ラケットを振る。

 一方で、キャラクターは徹底的に原作に寄せた。若手俳優を起用し、2次元独特の髪形を作り込む。しかし、それがウケるかどうかは賭けだった。

「一幕が終わって会場が明るくなったときの客席の熱気が、明らかに他の舞台と違いました。ロビーに出て興奮した様子で友達に電話している人もいた。これはイケる!と確信し、すぐに追加公演を決めました」(松田)

 テニミュはシリーズ化され、キャラや若手俳優の成長を見守りたいというリピーターを獲得、グッズも売れた。追随する作品も作られ、こうして2.5次元というジャンルが誕生した。松田は言う。

「大事なのは原作をリスペクトしつつ、演劇的な変換をすること。一番ダメなのは漫画のコマを再現するようにやる舞台ですね。原作に勝てるわけがないから。最初は俳優の見た目がキャラに近いかどうかも重視したけど、そこはメイクの力でどうにでもなる。大事なのはキャラクターの種になる魅力を持っているか。それを感じると、お客さまは納得してくれるんです」

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最終更新:5/27(月) 11:30
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