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急増する職場での「ハラスメント」。その影響やリスク、対策について解説

5/24(金) 7:32配信

日本の人事部

近年、職場における「ハラスメント」が急増し、人事管理上、深刻な問題となっています。ハラスメントは、広義には「人権侵害」を意味し、性別や年齢、職業、宗教、社会的出自、人種、民族、国籍、身体的特徴、セクシュアリティなどの属性、あるいは広く人格に関する言動などによって、相手に不快感や不利益を与え、その尊厳を傷つけることを言います。ここでは、企業の中で問題視されているハラスメントを中心に、及ぼす影響やリスク、防止するための対策などについて解説します。

相手が不快な感情を抱けばハラスメントとなる(定義)

ハラスメントとは、相手の意に反する行為によって不快な感情を抱かせることであり、「嫌がらせ」を指します。ここで重要なのは「行為者がどう思っているのかは関係なく、相手が不快な感情を抱けばハラスメントになる」ということ。概念としてはシンプルで分かりやすい定義ですが、人の感情は表立って現れないこともあり、「そんなつもりではなかった」などと行為者がハラスメントをしていることを理解できていないケースも少なくありません。現在は、セクシャル・ハラスメント(セクハラ)やパワー・ハラスメント(パワハラ)、モラル・ハラスメント(モラハラ)、マタニティ・ハラスメント(マタハラ)、スモーク・ハラスメント(スモハラ)など、さまざまなハラスメントが問題となっています。

近年はハラスメントに関する法律面での対応が進められており、セクハラは「男女雇用機会均等法」、マタハラは「育児・介護休業法」などにおいて具体的なハラスメントの内容が示されています。また、企業に対して「相談窓口の設置」といった防止措置を課しています。しかし、それ以外のハラスメントに関しては厳密な定義が設けられておらず、判例などの積み重ねの中で、ハラスメントとして認定されている状態です。

「プライベートに口を出す」など職務に関係のない対応、「会議に呼ばない」など業務を行う上で必要性のない行為はハラスメントに該当

では、どのような場合にハラスメントとなるのでしょうか。企業で問題となるのは、業務との関連性。特にパワハラの場合、この点が重要視されます。

セクハラは、性的な言動を相手が不快に感じるかどうかによって判断されるため、その言動自体がセクハラに該当するかどうかは大きな問題となりません。一方、パワハラの場合、受け手が不快に感じるかどうかで必ずしも判断できるものではないことが、問題を複雑化しています。業務上の命令や指導に対して受け手が不快に感じても、業務の適正な範囲で行われている場合にはパワハラに該当しないからです。過去の判例などから該当するかどうかの判断となるポイントは、「職務との関連性・業務上の必要性の有無」および「業務上、必要な範囲を逸脱していないか」となります。

例えば、「プライベートについて口を出すこと」は職務と直接関係がないため、パワハラに該当する可能性が非常に高いと言えます。また、「会議に呼ばない」「部下を無視する」「仕事を与えない」などの行為は業務上必要性がないので、明らかにパワハラに該当すると言えます。

このような職務との直接関係があるかどうかの判断は、比較的容易だと思われます。難しいのは、業務上必要と認められるが、「範囲を逸脱しているかどうか」の判断です。この点に関しては、「常識的な判断」という主観的な物差しを用いざるを得ません。そうした際にベースとなるのが、厚生労働省がまとめたパワハラを巡る六つの行為類型です。


1.身体的な攻撃
・叩く
・殴る
・蹴る
・モノを投げる

2.精神的な攻撃
・同僚の前で「ばか」「のろま」「辞めてしまえ」など言葉を毎日のように浴びせる

3.人間関係からの切り離し
・一人だけ別室に席を移す
・強制的に自宅待機を命じる

4.過大な要求
・一晩では処理しきれない量の業務を命じる
・仕事のやり方が分からない新人に、他の人の仕事まで押し付けて先に帰る

5.過小な要求
・運転手なのに、草むしりだけを命じる
・事務職なのに、倉庫業務だけを命じる

6.個の侵害
・部下に交際相手について、執拗に問う
・部下の配偶者に対する悪口を言う


1、2、3は業務に必要だと考えられないので、パワハラに該当すると判断することが容易です。一方、判断が難しいのは、4、5、6。業務の過大な要求や過小な要求にあたるのか、また、私的なことに過度に立ち入っているのかは、状況によって判断が分かれるからです。裁判で認定されたケースを見ると、過大な要求では「先輩が他の従業員の仕事を後輩に押し付け、徹夜で仕事をさせた」という事例があります。過小な要求では「接触事故を起こしたバス運転手に、営業所長が期限を示さず、真夏に除草作業を命じた」などの事例があります。

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最終更新:5/24(金) 7:32
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