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本気で働き方改革を進めない、サラリーマン社長の罪

5/24(金) 11:32配信

PHP Online 衆知(THE21)

晩節を汚せないサラリーマン経営者の罪

 以上のような働き方改革が実現できるかは、経営者が本気になって取り組むかどうかにかかっていると高岡氏は言う。

「働き方改革というと、人事部や各部署の部課長に委ねられがちですが、勝つ戦略を考えることや、会社の制度を大きく変えることは、経営者にしかできない仕事です。働き方改革ができるかどうかは、経営者次第なのです。だから、働き方改革は経営改革であると、私は言っています」

 しかし、多くの日本企業では、経営者が本気になっていない。

「その一つの理由は、サラリーマン社長が多いうえに、任期が短いからです。本当に改革を成し遂げるためには10年は必要。私も10年はやるつもりで社長になりましたが、他の会社は、2~3年程度で社長が交替することが少なくありません。短期間で抜本的な改革ができるとは思えませんし、自分の経歴を汚すかもしれない施策に手をつける人はいませんよ」

 経営者がコロコロ交替し、保身に走るのは、まさに新興国モデルからくる悪習だという。

「目まぐるしく変わるのは、『同じ人が長年社長をするのは不公平。一人でも多くの人が社長になれるように』というサラリーマンの出世競争から来ています。こんなことが通用するのは、現場の従業員が頑張れば結果を残せた新興国モデルの時代だけ。先進国モデルの会社では通用しません。世界を見渡しても、業績不振以外でコロコロ社長が替わる会社はありません。

 日本は、こうした企業文化から変えていく必要があるでしょう」

「戦力外の人材」を武器にするには?

「働き方改革は経営者の仕事」というのが高岡氏の主張だが、現場のマネジャーが何もしなくていいわけではない。ホワイトカラーの生産性を向上させるためには次の2つの意識を持つことが大切だという。

一つは、仕事と作業を分けて考えることだ。

「私の言う『仕事』とは、大きな価値を生み出すクリエイティブな仕事のこと。『作業』とは、慣れたら誰でもできるような仕事のことです。例えば、パワーポイントで資料を作ることは、別にそれ自体は価値を生みませんから『作業』です」

 生産性を高めるためには、「仕事」に優先して取り組むことが、重要だが、実際には、「作業」ばかりやっている人が多いという。

「本来なら、仕事と作業をする役割を分担すべきだと思いますが、優秀な正社員まで作業ばかりやっていることも少なくありません。そうした状況を変えるには、マネジャーが上手く仕事を配分することが重要です」

 もう一つは、「仕事ができないと思われている人を活用する」ことだ。同社では人事異動について話し合う際、役員や部長が、「うちの部に優秀な人材をください」と言うのは厳禁だという。

「優秀な人がいれば、仕事の結果が出るのは当たり前。管理職の仕事は、仕事ができない人でもうまく活用して、成果を出すことです」

 もっとも、「できない」というのは、その部下を活用する上司に原因があることも少なくない。高岡氏は、ネスレコンフェクショナリーの社長時代に、それを実感したという。

「この会社は、『キットカット』を日本で販売していた企業との合弁会社で、そこから営業部員が100人ほど出向してきました。いわば、親会社を追い出されてしまった人たちだったのです。しかし、一緒に仕事をしてみると、仕事ができないなんてことはない。結果的に、この営業部員たちの頑張りによって、日本一のシェアを達成できました。上司が上手く生かしてあげれば、できない部下なんていませんよ。

 これは、多様な人材をマネジメントするダイバーシティの問題とも深く関わります」

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最終更新:5/24(金) 11:32
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