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ティモ・ヴェルナー。「守備」と「眼」で仕掛ける神速ストライカー

5/24(金) 12:06配信

footballista

 さらにこの守備は、速攻への移行がスムーズになるという利点を持つ。パスコースに入るということは敵にベッタリとついてケアすることができない反面、離れた距離でも受け手を消すことができる。つまり、ボールを奪った瞬間に、敵から離れた位置で攻撃のスタートを切ることができるということである。

 この守備をマスターしたヴェルナーは、速攻における初期位置で優位に立つことが増えた。圧倒的なスピードを持つ彼が初期位置で優位に立てば、まさに弁慶になぎなたである。

スペースの見極め

 カバーシャドウを駆使した守備で初期位置の優位を確保するヴェルナー。ボールを奪った瞬間彼はどこを狙うのか。それは守備の最中から検討がなされている。

 ヴェルナーは、敵のビルドアップ時の動きを注意深く観察している。守備をしているのだから、当然と言えば当然だ。ただ、それは守るためだけではなく、奪った直後の攻撃に繋げるという意味でも重要となってくる。

 例えばSBが位置を上げる、CB同士の距離間が開く、CBが持ち上がる等、考えられる形は様々である。その中で敵のとるビルドアップ手法に応じて空くスペースを把握、狙いを定めて侵入する。

 狙ったスペースに侵入し、ゴールまで駆け抜けられれば単独で一気に陥れる。一度敵陣深くで落ち着かせたとしても、切り替えの早い味方の攻撃陣がゴール前になだれ込んでくるため、引き続きのチャンスを期待できる。

 敵のDFからすれば、スピードある選手がフリーの状態で空いたスペースに侵入してくるのだから、対応は困難だ。守備の陣形が崩れた状態で第2波、3波を受ければ、綻びを突かれる確率も高まる。

 パスコースを切る守備とスペースの見極め。この2つを持っているからこそ、ヴェルナーのスピードは際立つのだ。

「相棒」の存在

 ヴェルナーは、近い距離に味方がいてこそ活きるタイプだ。ドイツが優勝した2017年のコンフェデレーションズカップではレオン・ゴレツカやユリアン・ドラクスラー、ケレム・デミルバイが、RBライプツィヒでは2トップを組むポウルセンが彼との距離感を保ってプレーしている。

 ヴェルナーはスピードを活かした抜け出しだけでなく、DFとMFのライン間でボールを受けることもできるタイプだ。サイドに流れるプレーも多く、一カ所に留まらない。ただしライン間でターンをして躱す、サイドからドリブル突破を仕掛けるといったプレーは強みというほどでもない。彼がボールを持った時の仕掛けはあくまで瞬間的に敵を外してパスコースやシュートコースを確保するためのものだ。

 そんな彼がポジションを移すことでチームに与える影響は、スペースメイクの部分だ。

 スピードのあるヴェルナーがポジションを移せば、当然敵は警戒してついてくる。そうして空いたスペースを別の味方に使わせるのだ。

 そのためヴェルナーには、近い距離に位置して自身が作ったスペースを突いてくれる「相棒」が必要だ。相棒がいなければ、ヴェルナーの輝きは半減してしまうだろう。選手の距離間の近いRBライプツィヒで活躍しているのもそういった理由だ。

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最終更新:5/24(金) 12:13
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