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史上最大のライオン復活作戦、一挙に24頭を移動、結果は?

5/24(金) 7:11配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

「わたしが死んだずっと後まで、残っていてほしい」

 ライオンの再導入から半年が過ぎ、地元の村は明るい空気に包まれている。

「当初、村人はとても怖がっていました」と、トゾ氏は言う。「しかし、今はもう大丈夫です。ライオンが近くにいることはわかっていますが、襲ってくるようなことはありません」

 祖父が、自分や村人をライオンから守ってくれているから心配していないと、トゾ氏は言う。もし村が襲われれば、スピリット・ライオンがライオンを殺してくれるであろうことを、トゾ氏は知っている。

 村で出会ったジョンという名の若者は、彼の祖父のスピリット・ライオンについて話してくれた。彼の祖父は生前、自分はライオンになってお前たちを守ると、いつも言っていたという。そして今、森に入って道に迷ったり、恐怖を感じたりしたときには、祖父に話しかければ、必ず助けてもらえるのだと彼は言う。

 トゾの村にとって、スピリット・ライオンは犠牲、英雄的行為、保護、遺産、家族愛の象徴だ。かつての長ガラングイラは、自らの命を村人と土地のために犠牲にし、より強くなって帰ってきた。

 カーター氏は言う。「いつかこの場所が、アフリカの野生ライオンの安定した生息地になってくれたらと願っています。わたしが死んだずっと後まで、残っていてほしいですね」

 わたしたちがモザンビークを離れた数カ月後、1頭の雌が妊娠し、続いてさらに2頭が妊娠して、最終的に6頭の子供が生まれた。ホールデーン氏はわたしに、父親はおそらく、モザンビーク生まれの年老いた雄ではないかというメールを送ってきた。氏がその雄を見かけたのはたった一度きりで、たぶんもう死んでいるはずだという。

「その雄はきっと、スピリット・ライオンですよ」。わたしはそう返信を送った。

文=PAUL STEYN/訳=北村京子

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