ここから本文です

見えそうで見えない光。レノファ山口の艱難辛苦

5/24(金) 21:03配信

footballista

J2のシーズン3分の1を終えて……

 今季を象徴するかのような、切ない終わり方だった。

 1点ビハインド、これがラストプレーかという後半49分。前線には5人が殺到している。

 誰もが放り込むしかないと思っていたシーンだったが、右センターバックのドストンはショートパスを選択。あえなくカットされた直後に終了の笛が鳴り、シーズンの3分の1が終わった。

 レノファ山口がもがき続けている。第14節を終えて3勝3分け8敗の20位。浮上できないまま3分の1が終わってしまったが、まだ3分の1でもある。J2リーグ全体の勝ち点差は詰まっており、まだまだ上位進出を諦めるような状況ではない。

 ピッチ上のプレーを切り取ってみても、そこまで悲観するような内容とは思えない。同じく残留争いに巻き込まれた一昨年、シーズン当初から迷走を重ね、監督交代によりさらなる泥沼にはまり込んだ2017シーズンに比べれば、はるかに希望のあるサッカーをしているように見える。

 しかし、結果がついてこない。アグレッシブで心躍らせるようなサッカーを披露しつつも、良い時間帯が続かず、悪い時間帯をしのぎきれず、単純なミスからの失点を繰り返し、気付けば失点数はリーグ最多だ。

 筆者は今季のタイキャンプ、プレシーズンマッチ、開幕戦をスポット記者として取材させていただき「今年のレノファは守備が違う!」という記事を書いたわけだが、この有様。早くも記者生命の危機である。石を投げるならチームではなくわたしに投げていただきたい……。

 責任を取るべく(?)、区切りとなる第14節・東京ヴェルディ戦を取材させていただいたが、この試合には今季のレノファを象徴するシーンが凝縮されていた。

最高の入り方をしながらも勝ちを拾えない現状

 この試合のレノファ山口は、ここ最近用いてきた[4-2-1-3]システムではなく[4-3-3]の布陣。プレス時にはMF池上丈二が前に出て[4-4-2]気味になる場合もあるが、中盤3枚は限りなくフラットに近い守り方をしていた。

 対する東京ヴェルディは[4-1-4-1]。レノファはこのシステムを想定し対策を練っており、センターフォワードの岸田和人がファーストディフェンダーとしてコースを制限しつつ、ウイング、インサイドMF、サイドバックが連携して相手をワイドレーンに閉じ込めていく。序盤はこの守備がはまり、主導権を握った。練習で狙っていたとおりの、懸命な縦横スライドによる積極的な守備で相手に攻撃をさせずに、勢いに乗ったまま前半13分に高木大輔のゴールで先制する。ここまでは完全にレノファの試合だった。

 しかしヴェルディも徐々に対応。25分あたりから、左インサイドMFの佐藤優平がかなり外寄りの低い位置へポジションを変え、守備の基準をずらしにかかる。このことが影響したのか、前線のプレスが少し空転し始めたレノファは徐々にラインが下がり始め、ヴェルディにペースを握り返されてしまった。ミスも増えはじめて、落ち着かない、押し返せない時間帯が続く。何度かチャンスをつくられながらも、GK山田元気のビッグセーブや維新みらスタが誇るゴールポストの活躍もあり、前半をなんとか1-0で折り返した。

 後半は再び体勢を立て直し、入りは悪くないように見えた。が、しかし、小池純輝のドリブルに対して、ここまで好プレーをみせていたCBドストンが不用意にアタック。これを交わされてフリーでラストパスを送られ、ネマニャ・コイッチのゴールにより同点に追いつかれてしまった。

 スローインからの、それほどピンチと言えない場面からの唐突な失点。士気への影響が大きそうな失点だったが、チームはくじけておらず反撃に出る。しかし55分に立て続けに決定機をつくりながら決め切れずに、再びパスミスによる被カウンターが増え始める。そしてパスミスによるカウンターからの、コーナーキックにて失点。今季のレノファは高さとCKの守備が改善されており、「セットプレー崩れ」からの失点は多かったものの、直接叩き込まれての失点は今季初だった。

 再び攻めるしかなくなったレノファは、落ち込む暇もなく再度攻勢に。75分には途中出場の吉濱遼平のクロスに岸田が飛び込み、再び同点とする。怪我から復帰したばかりの、チームの象徴である岸田の今季初得点。「逆転まである」と思わせるような展開だった。

 しかししかし、83分にはカウンターを浴びて、カウンターながら同数の状況ではあったが、PKを献上。これが決勝点となった……。

 良い形で試合に入り先制点まで挙げながら、流れを手放してしまう。耐えきったかと思えば、なんでもない場面で失点してしまう。「勝てる!」と確信するような展開に持ち込みながら、再びリードを許してしまう。最後の攻勢に出ながら、ラストプレーはどっちらけで終わってしまう……。内容はあるのに、勝てない、粘り切れない。今季を凝縮したような試合により、そして敗戦という結果によりシーズン3分の1が終わった。

 試合後会見での霜田正浩監督の第一声には、さすがに力がなかった。

 ただ質問に答えていくうちに、かなり語気を取り戻していたようにも見えた。次の試合と、残りのシーズンに向けての戦いはすでに始まっている。

1/3ページ

最終更新:5/26(日) 22:27
footballista

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事