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マイケル・ジャクソンも歌ったジャズ名曲「オール・ザ・シングス・ユー・アー」の秘密|【ジャズを聴く技術】

5/24(金) 15:02配信

サライ.jp

第7回ジャズ・スタンダード必聴名曲(4)「オール・ザ・シングス・ユー・アー」

文/池上信次
今回は第5回で紹介した「バード・オブ・パラダイス」の「元ネタ」のスタンダード曲「オール・ザ・シングス・ユー・アー」を紹介します。

「オール・ザ・シングス・ユー・アー(原題:All The Things You Are)」は、作詞オスカー・ハマースタイン2世(1895~1960年)、作曲ジェローム・カーン(1885~1945年)というミュージカルの名作家コンビによって作られました。1939年のブロードウェイ・ミュージカル『ヴェリー・ウォーム・フォー・メイ(Very Warm For May)』のための楽曲で、そのタイトルどおり「あなたは私のすべて」と歌われるロマンティックな求愛ソングです。じつはこのミュージカルは不評で、当時わずか2か月で打ち切りとなってしまい、「幻」の作品といわれるほどでした。しかし、この曲はジャズ・スタンダード曲となり、現在までにジャズ史上屈指の膨大な数の録音が残されています。どうして「幻」が「大人気」となったのでしょうか?

ジャズ・ヴォーカルでは、ミュージカル上演同年にミルドレッド・ベイリー、トミー・ドーシー楽団、アーティ・ショー楽団らが取り上げていますが、おそらくは最新ミュージカルのカヴァーとしての扱いでしょう。フランク・シナトラが47年に歌っていますが、ヴォーカルでは人気曲とはいい難いところです。ヒットどころか幻ですからそれも当然なのですが、インスト(器楽演奏)の世界は違いました。1940年代前半はさすがに取り上げられていませんが、40年代後半から様子が一変、爆発的に録音が増えるのです。

まず45年にディジー・ガレスピー(トランペット)が、録音しました。ディジーはここでアルト・サックスのチャーリー・パーカーをフィーチャーしていますが、パーカーのソロはほとんどなし、という(あまりぱっとしない)演奏です。そして46年にも『ジェローム・カーン曲集』の1曲として録音。しかしこちらはカーンの遺族からクレームがあってレコードが回収された事実があるので、もしかすると楽曲の著作権などの問題でそれまでは取り上げられなかった事情があるのかもしれません。そうであったとしても、ディジーが「オール・ザ・シングス~」を「発見」したことがジャズ・スタンダード化の始まりだと思われます。

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最終更新:5/24(金) 15:02
サライ.jp

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