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実は「言うことがコロコロ変わる」が「いい上司」? なぜ人は「君主豹変」するのか

5/24(金) 8:12配信

NIKKEI STYLE

《連載》知らないと大変!ビジネス法則

皆さんは、「嫌いな上司のタイプは?」と問われたら、どんな人を挙げるでしょうか? よくあるのが、「責任逃れをする」「人の話を聞かない」「決断ができない」「細かいところにつっこむ」といったところ。加えて、必ず挙がるのが「言うことがコロコロ変わる」です。

指示命令が目まぐるしく変わる。相手や状況に応じて態度を変える。言っていることとやることが食い違っているなどなど。そんな人とは誰しも仕事はしたくありませんよね。

私たちの社会では、言動や態度に「一貫性」が求められます。こちらの予測や期待を裏切ることがなく、信用して任せられるからです。その結果、誠実で信頼できる人、軸がブレない人、合理的な思考ができる人といった、高い評価を得ることになります。

そのため私たちは、できるだけ一貫性を保とうとします。他者からの信頼を得るためだけではなく、自分のためにもそうしようとします。

一貫性があるほうが人格的に完成しており、コロコロと変わるのは自分の未熟な証しだと考えるからです。自分の中に確固たる軸ができると、判断に迷うことも少なくなります。ポリシーをしっかりと持っておけば、考える手間が省けます。

ところが、本来は望ましいものであるはずの一貫性も、行きすぎると逆効果になってしまいます。言動を変えるべきときまで、一貫性にとらわれて判断や行動を誤ってしまうからです。

■段階的に要求をつりあげていく

「一貫性の原理」を証明した有名な実験があります(R・チャルディーニ『影響力の武器』)。

地元の交通安全協会の人が高級住宅街に行き、「交通安全を訴える大きな看板を家の前庭に立てさせてほしい」と依頼して回りました。結果はあまり芳しくなく、17%の家だけが依頼を受け入れてくれました。

それに対して、「安全運転に関する小さくて目立たないシールを窓に貼らせてほしい」とお願いをすると、ほとんどの家は承諾してくれました。その2週間後に、大きな看板の設置をお願いすると、なんと承諾率が4倍以上の76%にもなったのです。

小さな要請を受け入れることで、「交通安全への意識が高い」という自己イメージができあがります。すると、二度目の依頼に対しても、一貫性のある行動を取ろうとして、進んで受け入れるようになるのです。

この原理を、交渉術に応用したのが、「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」(段階的要請法)です。顧客を訪問したセールスマンが、わずかに開いたドアに足を入れる様からそう呼ばれています。先回紹介した「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」とあわせて覚えたい説得の技法です。

最初に、小さな要求をして相手に承諾してもらいます。それから少しずつ大きな頼みごとをしていき、最後に本当に飲ませたかった要求を持ちだすのです。「話だけ聞いてください」「ちょっと触ってみませんか」「しばらく使ってみませんか」「買ってもらえませんか」といった具合にエスカレートさせていくわけです。

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最終更新:5/24(金) 9:22
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