ここから本文です

シロさんだけじゃない 秘かに生きるゲイ紳士たちの内緒話

5/24(金) 17:10配信

FRIDAY

こんにちは。G(ゲイ)執筆家のオオタサダヲです。

僕自身は、社会人になったあたりから、自らのセクシュアリティに疑問を持ち始め、30超えてGとしてカミングアウト。カミングアウト前は、家族や友人に、“彼氏”を“彼女”に言い換えて話したりする小さな嘘の積み重ねに罪悪感を覚え、いろいろと辛いことがありました。カミングアウト後は、生きやすくなったことも、さらに生きづらくなったことも。

一方、カミングアウトせずに社会生活を営んでいるG仲間が身の周りに多いのも事実。そんなわたくしのG友達4人をご紹介します。

仲間亮平(38歳 飲食チェーン営業職) 
藤木孝(47歳 金融アナリスト) 
山田和俊(42歳 WEBクリエイティブデザイナー) 
大林陽介(43歳 内科医) 

◆“周りとは違う”という最初の違和感

ーーいつも仲良くさせてもらってありがとうございます! というお礼もそこそこに、早速質問を……みんなはいつから自覚的な「ゲイ」になったの? 最初から? それとも突然?

孝 まあ、生まれ持ったものかなとは思うけど、自分が周りとは違うんだなって気づかされたきっかけみたいなものは、皆あったんじゃない?

ーーその、“周りとは違う”っていう最初の違和感って、憶えてる?

和俊 自分は戸惑った記憶があるよ。幼稚園のときかな。

亮平 おー早いね!

和俊 うん。近所のファミレスによく家族で出かけてたんだけど、その店にお気に入りのウエイターがいてさ。いつもその人に目がいってたんだろうね。ある日親から「男の子が男の人ばかり見ちゃいけないの!!」って凄い剣幕で注意されたのを憶えてる。

陽介 イケメンだったのかしら?

和俊 もはや親の怖い顔しか思い出せない(笑)。

――男性を好きっていう意識が、その頃、既にあったのかな?

和俊 んー、というより罪悪感を覚えたね。親に怒られてるっていう気持ちがとにかく強かった。よくわからないけど子ども心に、そこには興味を持ってはいけないんだって自分を責めた記憶があるよ。ただ結果さ、好奇心は湧いてしまったのかな……人間って、禁じられると欲しくなるところがあるでしょ?

陽介 うん……私も幼稚園の頃に、お気に入りだった母親のネグリジェを着て寝てたら、すごく怒られて。脱がされたくなくて、号泣した思い出がある。

孝 いや、それ、全然違う……(笑)。でもどうなったんだろ? 気になる(笑)。

陽介 ピンクのパジャマを買ってくれた。

亮平 お母さん、悩んだ末の妥協点だ(笑)。

――亮平は、最初に男性を意識したのって覚えてたりする?
 
亮平 俺は中学校の時、修学旅行のツアコン兄さんが気になってしかたなかったわ。

孝 初恋?

亮平 んー……笑った顔なんか、今でも思い出せるくらいだけど。でも小学校の頃は女の子が好きで、一緒に遊んでた甘い記憶があるんだよな。

――それって初恋? 何をして遊んでたの?

亮平 ケーキ食べながら、その子の部屋で漫画読んでた。

孝 親友かよ(笑)。

亮平 そっか。恋じゃないか(笑)。でも夢中になったなー。『白鳥麗子でございます!』とか『ボーイフレンド』とか『希林館通り』とか。

和俊 読んでたなー。キスシーンとか、ドキドキした覚えある。

亮平 うん。めちゃめちゃ面白かったよね。少年漫画に比べて、男女の恋愛がちゃんと描かれてて。テレビドラマとか親に見せてもらえなかったから、密かに大人の世界を覗けるっていうの?

和俊 登場人物の男性、ぶっきらぼうでたまに笑って、大きな手をして、スーツが似合って仕事できて……ってデティールがイケてる(笑)。

―― それが亮平のゲイの目覚めに影響を与えたと思う?

亮平 うん。子どもの頃ってさ、周りにいる大人といえば、親とか親戚とか、おじさん率高めでしょ(笑)? だから爽やかな大人キャラにキラキラした憧れを抱いていったかもしれない。

そんなときに、中学校の修学旅行でイケメンのツアコン兄さんが現実に現れたもんだから、思春期の第二次ホルモンシャワーの影響もあってG開花してしまったかも……。

――第二次性徴期のことね(笑)。その頃、急に性的なことに興味や疑問が湧いてきたのはなんか覚えてるなー。

亮平 ツアコン兄さんの、白シャツをまくり上げた逞しい姿に釘付けになってさ……。憧れなのかトキメキなのか、モヤモヤしてた(笑)。俺の場合、恋の始まりと、自分のセクシャリティの目覚めが同時だったのかも。

――ほんとの初恋だ(笑)。

◆心と体がバラバラ……「本当の自分」を認めるまでの葛藤

陽介 あのさ……思春期の頃って、妙に男子同士でじゃれたりしなかった?

一同 した!

陽介 私はね、高校に入ってもじゃれ合いがあって、女の子と付き合う時の練習に付き合え! って男友達に言われてた。

孝 練習?

陽介 キスの練習相手になったりしてた。

亮平 男子校だっけ?

陽介 ううん、男女共学なんだけどね。田舎のちょっと変わった学校でさ。中学までは男女別学、高校からが共学になるもんだから、男子と女子がなんか急に照れちゃって、混ざろうとしないの。永遠にお互いモジモジしてる感じ(笑)。

――交流がないの?

陽介 そう。私はこんなだから、女子と仲良くしてたんだけどね。

和俊 一人だけ混ざってたんだ?

陽介 紅白に混ざって、一人立ち位置、ピンク組でした(笑)。そして、体育館の裏で白組男子と放課後デートしてた……。

亮平 どういうやつよ(笑)

陽介 女の子との疑似体験みたいなもの(笑)? 相手の男子は風のウワサで、結婚して家族を持ってるってのを随分前に聞いた。

あの頃はさ、彼が女の子への好奇心から、たいした意味なく私とじゃれ合ってるだけだってわかってるんだけど……私さ、ひとりで勝手に彼に盛り上がっちゃって……じゃれ合うたびに胸が苦しかったもん。彼にとっては記憶にすら残らない青春時代の通過点だっただろうけど、私は通り過ぎることのできない「道」になっちゃった。

和俊 今の時代も、男子同士でじゃれ合う「ポッキーキス動画」とかwebに上がってるけど。それがその後どう広がっていくのかなんて、予想のつかないことだね。

孝 自分はさ、大学生のときに彼女がいた。

和俊 そうなの!?

孝 うん、すべてがパーフェクトでキレイな女の子だったけど、一瞬で終わった。今思えば、“つき合う”っていう恋愛のカタチに憧れてたのかもしれない。

和俊 どういうこと?

孝 男からしたらなんの不満もない子だったと思うんだ。明るくて、ルックスも良くて。会うたびに親近感が増していくんだけど、なぜかドキドキしないっていうか……キスしたくならないのが不思議で。

――心と体がバラバラみたいな?

孝 そう。彼女には心癒されるんだけど、体が欲しがろうとしないバランスに苦しんでた。女子に反応しない自分に激しく動揺して、自信も喪失したしね。だから、花火やスノボのデートだったり、プレゼント贈ったり、彼女に対する親しみをカタチで返すことに必死になって。そうしたらある日、「私の事どう思ってる?」って彼女が静かに聞いてきて、何も言えずに、それで終わった。

亮平 なんかせつないね。

孝 同時期にね、偶然Gの人と知り合ったんだ。その人と遊んでる時にはなんかやたら胸がざわついて、キスがしたいって猛烈に思ったんだよね。そのとき、バラバラになってた自分がはっきりした。あー、男性に反応するんだって。恋する気持ちは女性には持てないんだってやっとわかったんだ。

――そうか、女の子と付き合うことで自分の中の違和感に気づいて、Gに目覚めたっていう一つの典型例だね。ちなみに僕は23歳のときに自覚したんだけど。

亮平 遅めだ!

――うん(笑)。新入社員の頃、職場の同期に壮絶なイケメンAくんがいてさ。イケメン=性格悪い奴だと勝手に思って避けてたんだけど……。

陽介 それで?

――同期で毎週飲み会やってるうちに、Aくんは、仕事はできるし、何より人に優しい完璧な奴だとわかりました。で、ある日Aくんが参加できなかった集まりがあって。そしたらなんだか、ものすごくつまらなくてさ。帰りの電車の中で思わず、「会いたいなー」って呟いたときに自分でめちゃめちゃびっくりして。同時にたまらなく自分が異常だ……と思えて。

今みたいにスマホとかないからさ、「男が好き」「異常?」とかの言葉でググれないわけよ。一体自分はどうなったんだよ!? って苦しんで。そこからAくんとまともに会話ができなくなって、会社にも行けなくなった。

陽介 そっか……そんな情報も得にくい時代に、どうやって解決したのかしら?

――女子に助けられました。会社を休んだ3日目の夜、同期の女の子が見舞いに来てくれてさ。そしたら急に「怒んないでね。もしかしてAくんのこと、好きなんじゃない?」って不意打ちされたのよ。んで続けざまに「私Aくんが好きだから、つい目で追ってたら、オオタくんの視線に気づいちゃったの」って。

結果、彼女に「自分は異常なんだ」って悩みを打ち明けたら、彼女から「『それは全然異常なことじゃないよ』って伝えたくてここに来た」って言われて。そこで自分を受け入れました。

一同 その女子、天使!!

――うん。そこからかな。好きになった人が男性って以外は、自分は周りと違ってるわけではないんだって。

◆自分という人間が見えたときに、少しだけ落ち着けた

和俊 こうして改めて話してみると、きっかけって人それぞれ、いろいろだね。

――うん。みんなの話聞いてたらさ、どこか人と違う、普通ではない……ってある日、周りと比べて違和感を覚えたり不安になったりしたけど、自分っていう人間が初めて見えたときに、結局のところ少し落ち着けたのかもしれないね。「たまたま好きになる相手が同性だっただけで、あとは周りと違わない。特別な人種ではないんだ」って。

亮平 普通じゃない自分……っていう疑惑から、そんなにおかしなわけでもないという自覚はできた(笑)。

――正直さ、自分たちでさえゲイであることを自覚したときに戸惑いを覚えたんだから、周囲の人みんなに理解してもらうのって、とても困難なことだと思うんだ。だったら、すぐに自分をわかってもらえなくても、相手のことをわかろうとする人でいたいね。

僕ら、全てをさらけ出せないモノを持ってるからこそ、いろんな人が抱えてる生きづらさには誰よりも気づいてあげられるかもしれない。自分たちの葛藤を、そんなふうに活かせたらね。だって、まずは相手を思いやる人間性が向上しなきゃ、お互いを認め合える社会なんて実現しないんだろうから。

孝 ゲイである前に人として、か。確かに、本来マイノリティってのは人間のなかの一部なわけだからね。

陽介 そうね……人として馴染めてるのかは正直わからないけど(笑)。

亮平 Gおじさんとして、そっと生きています(笑)。


取材・文:オオタサダヲ

最終更新:5/24(金) 18:25
FRIDAY

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事