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中国にも見放された「日の丸液晶」ジャパンディスプレイの哀しき迷走

5/24(金) 7:00配信

現代ビジネス

 経営再建中の液晶パネル大手ジャパンディプレイ(JDI)が債務超過となる可能性が出てきた。15日に発表された2019年3月期決算で5年連続の赤字を計上し、自己資本比率も0.9%と大幅に低下している。基本合意されていた中国・台湾連合からの出資も延期され、資金繰りへの懸念が高まっている。

日本株「負のスパイラル」も

 JDIの決算短信によると、19年3月期の売上高は前年比11.3%減の6367億円、本業の損益を示す営業損益は309億円の赤字を計上した。純損益も1094億円の赤字で、14年の上場以来最大だった前年の2472億円に次ぐ規模だ。

 今回の決算で注目されるのは、「買掛金の増加」であると国内大手証券アナリストは指摘する。

 「買掛金とはいわば『ツケ』ですが、1784億円と18年3月期から約1.5倍に拡大しています。通常は部材メーカーへの信用問題になるため、早め早めに縮小させる傾向がありますが、増加しているということは、もはやJDIには支払余力がないということです。

 JDIは『日の丸液晶』の国策会社ですから、部材メーカーも、JDI設立を主導した経済産業省から協力を求められていた手前、積極的に請求しにくい面があると推測されます。ただ、あまりにツケがたまった上に債務超過で倒産ということになれば、ガラスなどを供給するメーカーにしわ寄せが来て株価が下がる、という負のスパイラルを引き起こしかねません」

アップルにもハシゴを外され…

 JDIは2012年に政府系ファンドの産業革新機構が主導し、ソニー、日立製作所、東芝の中小型液晶事業を統合して発足した。

 背景には、2000年代以降に韓国メーカーなど新興国企業が日本の液晶パネルの世界シェアを脅かしてきたことにある。

 1990年代までは日本が世界のカラーテレビ市場で圧倒的なシェアを誇ってきたが、やがて日本の技術は新興国側にも伝わった。その結果、液晶テレビや半導体などのエレクトロニクス製品全般で、日本製品の差別化が難しい市場環境となったことは周知の通りだ。

 ソニーや日立、東芝が国際市場で苦戦するのを目の当たりにした経済産業省は、「日の丸液晶」をつくることで国際競争力の向上を図った。設立当初のJDIはスマートフォン向けで圧倒的なシェアを誇り、2年後の14年には東証1部上場を果たした。

 しかし供給先がアップルのiPhone一辺倒だったため、スマホ用ディスプレイが液晶パネルから有機パネルに切り替わる流れに乗り遅れた。アップルの要請を受け、1700億円を投じて石川県の白山工場を建設し16年から稼働を始めたが、今度はiPhoneの販売台数が落ち始めた。

 その後アップル自身も、17年9月に発表した最上位機種に有機ELパネルを採用。JDIはハシゴを外され、上場以来19年3月期まで5期連続の経常赤字となっている。

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最終更新:5/24(金) 7:00
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