ここから本文です

政治にも影響する「宗教団体」。その実力は?<小川寛大vs菅野完 対談>

5/24(金) 15:31配信

HARBOR BUSINESS Online

 神社本庁や日本会議、創価学会、幸福の科学など、宗教団体が話題になることが増えている。彼らは政治に大きな影響を与えていると言われているが、その実力はどれほどか。そもそも宗教はどのような役割を果たすべきなのか。

 保守系オピニオン誌『月刊日本 6月号』に掲載された、『宗教問題』編集長の小川寛大氏と、『日本会議の研究』(扶桑社)の著者である菅野完氏の対談を紹介したい。

神社本庁は安倍政権を操っているか

小川寛大氏(以下、小川):令和初日、明治神宮に御朱印を求める人たちが殺到し、10時間待ちの行列ができたと報道されています。神社には人々を惹きつける力があるということに、改めて気づかされました。

 今回のように日本人が神社に寄せる思いを「政治力」に変えようと活動してきたのが神社本庁です。『神社本庁とは何か』(ケイアンドケイプレス)の中に詳しく書きましたが、神社本庁とは日本全国にある約8万の神社が加盟する統括組織で、いわば神社の家元です。1946年に設立され、以来70年以上にわたって活動を続けてきました。

 こう言うと、神社本庁が巨大な力を持っているように見えるかもしれませんが、そうではありません。
 たとえば、神社本庁の関連団体に神道政治連盟という組織があります。彼らは神社本庁の事実上の政治部門です。神道政治連盟は参院選で全国比例区から出馬する候補者に推薦を出していますが、彼らの集める票数は20万ほどで幸福実現党にも及びません。神社本庁の過去の取り組みを見ても、彼らがやろうとしてきたことには失敗も多い。

 明治神宮に御朱印を求めて集まった人たちにしても、政治的な考えで集まっている人は1割以下でしょう。神社本庁は政治的にはあまり成果を出せていないというのが実際のところです。

菅野完氏(以下、菅野):小川さんがご著書の中で神社本庁の力はそれほど大きくないと書かれていたように、僕も『日本会議の研究』の中で、組織の力・数の力という意味においては、日本会議の力はそれほど大きくないという点を強調しました。

 神社本庁や日本会議に幻想を抱く人が多いのは、30年前の創価学会のイメージと重ねているからだと思います。神道政治連盟自身、自分たちは創価学会と同じことができると思い込んでいます。

 しかし、当時の創価学会は卓絶した存在であり、他の組織が真似できるものではありません。現在の創価学会にしても、30年前と同じことはできません。ましてや創価学会の100分の1程度の力しかない神道政治連盟に、そんなことは不可能です。

小川:もともと神道には確たる教義も教祖もなく、「これこそが神道的な政治思想だ」と言い切れるものもない。神社本庁の幹部たちに、たとえば「神道の教えの中に『改憲しろ』とでも書いてあるのか」と尋ねても、明確な答えは返ってこないと思います。

 はっきり言ってしまえば近代以降、神社界はその時々の流れに乗ってきただけです。戦前の場合は国家を強くしようという時流に乗り、戦後の場合は自民党に乗りました。それはいまも変わっていません。そういう意味では、一部で言われているような、神社本庁が安倍総理を操っているといった事実はありません。

菅野:そう思います。世の中は複雑であって、ブランデーを片手にシャム猫を抱きながら、「安倍君に電話しといたから」などという黒幕はいません。そうした幻想は捨てるべきです。

1/4ページ

最終更新:5/24(金) 21:40
HARBOR BUSINESS Online

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事