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米中貿易戦争で世界は分裂、日本はどう対処すべきか

5/24(金) 15:10配信

ダイヤモンド・オンライン

● 米中貿易協議は 異なる体制間での覇権争い

 合意間近とされていた米中貿易協議は、5月上旬に一転、決裂状態へと陥った。米国政府は、中国側が約束していた合意内容の多くを突如撤回したと非難、一方中国政府は、米国側が要求する補助金制度の見直しなどを、事実上の内政干渉と強く批判している。トランプ政権は、6月下旬の米中首脳会談での決着を狙っており、そこまでは、目立った協議の進展は見られないのではないか。

 中国側は、米中協議の当初から、米国からの農産物やエネルギー関連などの輸入を大幅に拡大させ、対米貿易黒字を解消させる考えを示していた。貿易不均衡の是正を目指す純粋な貿易協議であれば、本来は、この時点で終わっていたはずだ。終わらなかったのは、米中貿易協議の本質が別のところにあるからだ。

 それは、経済、先端産業、安全保障を巡る覇権争いだ。中国を脅威に感じる米国が、その源泉となっている中国の政府主導での経済システム、いわゆる「国家資本主義」を変えようとしているのが、米中貿易協議の本質だ。

 これは、異なる経済思想を持つ異なる体制間の争いであるため、着地点を見出すことは難しい。仮に、6月の米中首脳会談で合意に達するとしても、それは一時停戦に過ぎない。

● 世界経済への打撃は 異次元の領域に

 トランプ政権は5月10日に、中国からの輸入品2000億ドル相当分に対する追加関税率を、10%から25%に引き上げる制裁措置を発動した。これを受けて、中国政府は13日に、600億ドル相当の米国製品への関税率を、5~10%から最大25%へと引き上げる報復措置を発表した。さらに同日に米国政府も、約3000億ドル相当の中国からの輸入品に最大で25%の関税を上乗せする案を発表した。米中は再び報復関税の応酬の様相となってしまった。

 OECD(経済協力開発機構)の試算によると、現状までの米国の対中追加関税と中国側の報復関税措置は、米国のGDPを0.2%、中国のGDPを0.3%それぞれ押し下げる。しかし、以上のような展開となれば、追加関税は米国のGDPを合計で1.0%、中国のGDPを合計で1.4%押し下げる。両国経済への打撃は、一気に5倍程度へと拡大する。また、世界のGDPも0.8%程度押し下げる計算だ。こうした事態に至れば、米中貿易戦争が世界経済に与える打撃は異次元の領域に入る。

 その場合、筆者の試算によれば、日本のGDPは0.6%程度押し下げられる。日本経済の実力である潜在成長率が0.8%程度しかないことを踏まえると、日本経済への実質的な打撃は、当事者である米国と中国を上回ることになろう。

 また、トランプ政権は、日本に対して対米自動車輸出の自主規制を求めてくるのではないか。最終的に、日本がそれを受け入れさせられる場合には、日本経済に相応の打撃となることを覚悟しなければならない。

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最終更新:5/24(金) 15:10
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