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学校や職場の困った人が「当たり前のこと」ができないワケ 「共感障害」とは

5/24(金) 6:30配信

Book Bang

 この本は、まるで僕の大好きなちらしずし。テーマである「共感障害」を主軸に、認識の違い、発達障害、自閉症、子育てなど脳科学に関連する重要なトピックが彩り豊かに論じられています。

 本書によると「共感障害」とは、一種の脳の認識のトラブル。このトラブルがある人は、挨拶を返さなかったり、適切なタイミングでうなずかなかったり、目を合わさなかったり、つまり「当たり前」とされることをしない。なぜそうなるかというと、自分が置かれた状況を脳が認識できていないから。そのため、「暗黙のうちに学ぶ」ということができません。こういう人がいると、当然周りは困ります。でも、彼らを「気が利かない」「やる気がない」「性格が悪い」と決めつけるのではなく、その認識のしかたの違いを理解して彼らにも分かるように行動すれば、お互いが楽になるというのです。

 本書には、こういう人が職場や家庭にいて困っている人へのアドバイスだけでなく、自分が「共感障害」だと感じる人への具体的アドバイスも書かれています。三章構成で、「第一章 脳が違えば、見ているものが違う」は、「第二章 共感障害とは何か」「第三章 共感障害と生きる」へ至る前の「基礎知識篇」という位置づけ。でも、この第一章に「脳の認識」について、とても重要なことが書かれています。黒川さんのご専門ともいえる「男女の違い」もありますが、「江戸っ子のすかし」「京都のはんなり」「大阪のいじり」といった地域別の認識の違いのエピソードが「認識のしかたの違い」を理解するのに絶妙の例。全国各地を講演で廻った経験から、僕にも思い当たることがたくさんありました。今もテレビ番組の仕事のために、毎月一回大阪に通っているのですが、同じ関西の滋賀県出身の僕でも、いまだに大阪に行くたびにマナーの違いに驚かされていますから。

 この認識のしかたの違いは、異なる宗教観による正義の違いなど、国際政治や外交でも当然生じることでしょうから、重要なテーマです。意見や行動の相違が「認識のしかたの違い」によるものとわかれば、そこから議論を重ねて本当の意味で理解し合えるのではないでしょうか。それが「絆」と声高に言うような表面的なつながりではなく、深いつながりを生むことになると思います。

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最終更新:5/24(金) 13:08
Book Bang

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