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U-20日本代表、田川亨介の苦悩と希望。オウンゴール献上も前を向く、史上3人目の男の意地【U-20W杯】

5/25(土) 5:01配信

フットボールチャンネル

FIFA U-20ワールドカップ2019が開幕。U-20日本代表対U-20エクアドル代表は、1-1のドローで勝ち点1を分け合った。史上3人目となる2大会連続出場を果たしたFC東京のFW田川亨介だが、この試合でオウンゴールを記録した。それでも先人たちに肩を並べるため、強い意志を示した。(取材・文:元川悦子)

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●顔面に当たりオウンゴール。不運にも責任感

「U-20ワールドカップは難しさはもちろん、ほとんどうまくいかない中でチームとしてどう戦うかがホント大事。個人としてもチャンスをつかみ取れればいいと思います」

 2017年韓国大会の生き証人である田川亨介は、2年前の貴重な経験を23日開幕の2019年ポーランド大会に遺憾なく発揮しようとしていた。

 U-20ワールドカップ2回連続出場というのは、日本サッカー界の歴史を振り返っても、97年マレーシア・99年ナイジェリアの南雄太、2003年UAE・2005年オランダの平山相太と田川の3人だけ。2人の先人たちはそれぞれの大会で大黒柱として活躍してきた。が、韓国での田川は控えFWに甘んじ、悔しさばかりが募った。今回はそれを晴らすべき重要な大舞台。ここまでチームの攻撃の軸を担ってきた久保建英や安部裕葵らが揃って不在ということあり、その穴を埋める働きが強く求められた。

 影山雅永監督が田川と17歳の斉藤光毅を2トップに配置してスタートしたエクアドル戦。日本は試合の入りこそ悪くないように見えたが、南米王者にじわじわと押し込まれ、一方的に主導権を握られ始める。思うような組み立てができず、FW陣はボールが入らず、ストレスの溜まる展開が続いた。

 そんな前半終了間際の45分、相手FKをGK若原智哉がパンチング。これが目の前にいた田川の顔面に当たってゴールネットを揺らすという不運に見舞われてしまう。

「事故って言えば事故なんでしょうがないけど、もうちょっと守り方を考えていればピッチの前に阻止できた可能性はあった」と本人も悔やんだが、一番嫌な時間帯の失点にチームには暗雲が立ち込めた。

●ビッグチャンスに手応え

「お前らがこれまで積み上げてきたものは、こんなもんなのか」

 指揮官がかつてないほど声を荒げるほど、若き日本には凄まじい危機感が高まった。けれども、田川は「落ち込んでもしょうがない」とすぐさま気持ちを切り替え、後半に向かった。その直後に献上したPKを守護神・若原が阻止し、2失点目を与えずに済んだことも、メンタル面を強く後押しした。

 こうした追い風によって背番号11は本来のアグレッシブさを取り戻し、不安定さをしばしば垣間見せる相手センターバック陣の背後を意図的に突き始める。14分には東俊希タテパスに反応し、あわやドフリーでシュートかと思われるビッグチャンスも訪れた。

「裏に抜ければスピードで行けるっていうのは分かっていたことなので、積極的に狙っていった。チームとしても前向きなサッカーができるようになったんで動きやすさが出たし、自分も持ち味も出せるようになった」と本人も手ごたえをつかみつつあった。

 彼らのこうしたゴールへの意欲がついに結実したのが、後半23分の同点弾だった。途中出場の西川潤が中に入れたボールを田川は果敢に競りに行く。そのこぼれ球を伊藤洋輝が拾って再び中へ送り、後半頭から出ていた宮代大聖が反応。相手GKと交錯し、転がったボールを山田康太が右から詰めるという極めて泥臭い形から待望の1点が生まれたのだ。

●最低でもグループリーグ突破。先人に並ぶために

「あれはもうみんなが粘って粘って気持ちで押し込んだゴールかな」と言う田川にしてみれば、不運な1失点目のマイナスを取り返す重要な一撃だったに違いない。自身の決定機を決められなかったことはやはり悔やまれるものの、初戦ドローという最低限の結果に貢献できたのも事実だ。これでキャプテン・齋藤未月に次ぐ「チーム2番目の年長者」という重圧やプレッシャーからも多少は逃れることができたのではないだろうか。

 ここから田川がやるべきなのは、チームを勝たせるゴールを奪うことだ。過去の2大会連続出場者たちを見ると、南は97年8強、99年大会準優勝という華々しい成績を残したチームの守護神であり、平山は2大会3ゴールを挙げている。しかも平山の参戦した2大会は8強と16強。つまり田川は最低でも1次リーグは突破し、自身も得点という結果を残さなければ、先人たちに肩を並べられないのだ。

 そのうえで、今大会をステップにFD東京でのレギュラー奪取、来年の2020年東京五輪、2022年カタールワールドカップという上のカテゴリーに飛躍していければ、まさに理想的なシナリオだ。

 そういう右肩上がりの奇跡を描くためにも、26日の第2戦・メキシコ戦はよりアグレッシブなプレーを頭から前面に押し出していくことが肝要だろう。

「次勝てば突破も見えてくる。全然ネガティブになる必要はない」と語気を強めた大型FWの覚醒に期待を寄せたい。

(取材・文:元川悦子)

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最終更新:5/25(土) 5:01
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