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金脈は郊外私鉄の駅前にあり ラーメンの日高屋、次に狙うは「首都圏ローカル」

5/25(土) 0:10配信

NIKKEI STYLE

《連載》仕事人秘録 ハイデイ日高会長 神田正氏(最終回)

ラーメン店「日高屋」の創業者、神田正・ハイデイ日高会長の「仕事人秘録」。最終回では、衰えない事業欲、後継者のイメージなどを語ります。

【写真はこちらで】日高屋創業者の夢のラーメンストーリー

決まった後継ぎがいない分、かえって商売で完全燃焼する意欲が絶えないのかもしれない。

後継者はね、この会社で一番がんばってくれている人を、と思っています。3兄弟で力を合わせてやってきましたが、息子、娘は誰も入社していません。3人でそう申し合わせました。寂しいな、と思うこともあるけどね。

いまや、お酒を出せないロードサイド立地より駅前の方が収益モデルを組みやすくなりました。飲酒運転の罰則強化や社会的な関心の高まりといった時代の変化も、ときに追い風として働きます。

ただ、ここにきて駅前立地の利点とちょい飲み需要の強さに皆が気づき始めました。繁華街に立地する店の売り上げが落ちてきています。自社競合も起きていますが、駅前立地の競争が厳しさを増しているのは間違いありません。

では、どうするか。いまの狙いは「首都圏ローカル」です。神奈川県や千葉県の住宅街にある、私鉄の駅前です。かつて「日高屋」は年間乗降客5万人以上の駅前を出店候補地に選んでいました。でも試しに、2万人くらいの小田急線沿線に出してみたら、絶好調です。家賃が安いし、競合店はない。新宿から1時間前後もかかる駅前で、東京都心部の店の営業利益率と遜色ないのですから、わからないものです。

人を大切にする会社、という色合いが年々、濃くなってきた。

10年もの間、まじめに夜のシフトで貢献してくれて、でも会って感謝の言葉をかける機会もないまま、辞めていく人がいます。それでは寂しいし申し訳ないので、4年前からパート・アルバイトを対象に「フレンド社員感謝の集い」を催しています。年に3回、それぞれ300人くらいずつ、参加してくれています。

毎回、語りかけるのは、経営者としてのこれからの夢、それに自分の人生をたくましく切りひらいてほしいというエールです。外食産業には、やりよう次第で夢をつかめる魅力があります。

パーティーはイスラム系の民族衣装をまとった女性もいて、華やかですよ。いろんな国籍、文化の人が働いてくれていると改めて実感します。

感謝の気持ちというのは、修羅場の苦労を経験していないと、本当にはわからないものです。貧乏に生まれたっていうのはね、ある意味、たいしたもんですよ。ある程度の家庭に生まれて大学でも出てれば、絶対、もっと楽な生き方をしていますね。格好いい生き方をね。

事業欲って何だろう、と考えるとね、自分だけの安定じゃなくて、一緒に働く人たちが同じように、生活の質を高めていけるようにする欲求ではないかと思うんです。自分独りでやれることはありませんから。

=この項おわり

[日経産業新聞 2016年9月27日付]

最終更新:5/25(土) 0:10
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