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森谷敏夫先生に叱られたい(第3部)「サルコリピンをノックアウトしたら太ります」

5/25(土) 12:01配信

Tarzan Web

森谷先生の“白熱脂肪教室”、第3部のテーマは「アイリシンとサルコリピン」。聞きなれない物質“サルコリピン”が脂肪燃焼の鍵でした。

第3部は体温調節と脂肪の関係についてです。

脂肪細胞に白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があることは、だいぶ知られるようになりました。前者は中性脂肪を溜め込む細胞、後者は脂肪を取り込んで熱エネルギーとして消費する細胞です。

褐色脂肪細胞は首や背中、脇腹などに存在していますが、その量には個人差があります。多い人はどんどん発熱して脂肪を燃やし、少ない人は発熱できないので冷え性になりやすく、しかも太りやすい。

ただ、褐色脂肪細胞が少ない人でも寒冷の環境に身を置くと、その数が増えるといわれています。気温10度の環境で生活すると、1日400キロカロリーくらい消費することが分かっています。単純に計算すると褐色脂肪細胞の働きだけで1年間で20kg減量することができるわけです。

脂肪と筋肉が熱を作り出す仕組み

さて、運動をすると筋肉の細胞からアイリシンという生理活性物質が分泌されます。イリシンと呼ぶ人もいますが、私はアイリシンと呼ぶ方が正確だと思います。

2012年に『ネイチャー』に発表された論文で、このアイリシンが白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に生まれ変わらせることが分かりました。変化したこの細胞はエネルギーを無駄遣いするという働きは同じですが、完全な褐色ではないので「ベージュ細胞」と呼ばれています。

実は私は、体温調節が本当に脂肪細胞だけでなされているのか?ということにずっと疑問を抱いていました。筋肉は全身の組織の5割以上を占めています。その中に体温調節システムがあるのではないかと考えていたのです。

そんなところに、新しく発見されたのがサルコリピンという物質です。発見されたのは、やはり2012年のことでした。

サルコリピンは筋肉の中にあるタンパク質です。筋肉の細胞の中にはカルシウムを蓄積している筋小胞体という袋があり、脳からの指令でカルシウムが筋小胞体から放出されるとアクチンとミオシンという筋肉の最小単位の細胞が収縮し、筋肉が動く仕組みになっています。

サルコリピンはこのカルシウムの放出に作用して熱を作り出し、エネルギーを無駄遣いすることが分かったのです。

ラットの実験では、低温の環境では褐色脂肪細胞があってもなくても体温はまったく変わらなかったのに対して、褐色脂肪細胞ありでサルコリピンがないマウスは体温が急激に下がるという結果が出ました。つまり、寒冷時の体温調節はサルコリピンが行っているということです。

運動でベージュ細胞を増やしてサルコリピンの働きで体温を上げれば脂肪はどんどん無駄遣いされて太りにくくなるというわけです。

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最終更新:5/25(土) 12:01
Tarzan Web

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