ここから本文です

見えない宇宙を探る! 電波望遠鏡って何してるの?

5/25(土) 6:15配信

JBpress

 2019年4月、ブラックホールシャドウの撮影に成功し、アルマ望遠鏡など天文学の国際プロジェクトが注目を集めた。その史上初の成果を生み出した「電波望遠鏡」とは、どのようなものなのか。そして、私たちの宇宙に何をもたらすのか。国立天文台 野辺山宇宙電波観測所の立松健一所長が、電波望遠鏡で探る宇宙の謎を解説する。(JBpress)

【画像】可視光で見たオリオン座と電波で観測された「分子雲」を重ねたもの

■ 1. なぜ天文学?  なぜ電波望遠鏡? 

 いつも聞かれる質問があります。

 「なぜ天文学研究をやっているんですか?」

 私の答えは、ちょっと大上段ですが、「人類の知的好奇心を満たすため」です。

 今から、約400年前にガリレオ・ガリレイが小さな望遠鏡で夜空を見ました。彼の驚きは想像に難くありません。月のクレーター、木星の衛星、土星の耳(後年に輪と分かる)。太陽黒点も発見しています。

 それから400年間、人類はより大きな望遠鏡を作り、我々の宇宙を探ってきました。お金持ちのパトロンを得て、さらには国家プロジェクトとして。一国で作れる望遠鏡の大きさに限界が来た現在は、天文学の大型プロジェクトは国際協力のもとで進みます。

 人間の定義を考えましょう。二本足歩行、火の使用、言語の使用。しかし、私には「知的好奇心」こそが、人間が人間たるゆえん、に思えてなりません。

 誤用を恐れなければ、「人はパンのみにて生くるものに非ず」(新約聖書マタイ伝)。子供は、「なぜ」「どうして」を親に聞きます。これは我々の遺伝子に組み込まれている性質。我々はどのような世界に住んでいるのか(宇宙)。我々はどこから来たのか(生命の起源)。これを知りたいという衝動があるのは、我々が人間たるゆえんではないでしょうか? 

 私は、電波天文学研究を行っているので、「なぜ、電波望遠鏡が必要なのか?」も、よく聞かれます。国立天文台は、ハワイのマウナケアに、1枚鏡(鏡が1枚のガラスでできている)では世界一の大きさを誇る「すばる望遠鏡」(口径=鏡の直径が8.2m)を持っていて、非常に遠くの銀河を発見するなど大きな成果を上げています。

 なぜ、「すばる望遠鏡」だけではだめなのか?  これをご説明します。

■ 2. 電波で見える宇宙

 我々の「目」は、波長が1μm弱の可視光を見るように「設計」されています。可視光は、「太陽」からの光です。我々の目は、太陽からの光が、いろいろな「もの」(木、地面、動物、などなど)によって反射されることによって、その「もの」を認識しているわけです。夜になると、太陽の代わりに、電灯や蛍光灯という太陽の代替品を用いて生活しています。

 太陽は、表面温度が6000度の「大人の恒星」です。電灯や蛍光灯は、これをまねて、数千度~数万度の温度に対応する可視光を出しています。夜、電灯や蛍光灯を消して、空を見上げると、何が見えるでしょうか?  答えは、太陽のような「大人の恒星」、太陽の仲間たちが見えます。これが星空です。

 みなさんも、自分自身、家族、親しい友人に子供が生まれたり、成長して幼稚園、学校に入ったり、成人したりすると、うれしいですよね。定年退職する友人をお祝いしたりします。

 宇宙も、未来永劫変化がないものではなくて、天体が生まれ、成長し、そして死んでいきます。その人生は、短いものでも1000万年程度、我々の太陽でも110億年と、我々の人生に比べてはるかに長いですが、それでも寿命があります。

 「宇宙は真空」などとよく言いますが、厳密には真空ではありません。ごく薄いですが物質で満たされています。もし完全に真空だったら、星が生まれてくることができずに困りますね! 

 どのくらい薄いかというと、地球の大気に比べ10の21乗、すなわち、1兆分の1のさらに10億分の1の薄さですが、それでも物質(気体と、若干の塵)で満たされています。星と星の間を埋めているので、我々は「星間物質」と呼びます。これが、太陽のような恒星や地球・木星・土星のような惑星の材料なのです! 

1/3ページ

最終更新:5/25(土) 10:00
JBpress

記事提供社からのご案内(外部サイト)

JBpress Premiumは
日本の未来を創るビジネスリーダー
のための総合メディア
JBpressが提供する有料会員サービスです。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事