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女性役員は増えて当たり前 30%達成企業の経験

5/26(日) 10:12配信

NIKKEI STYLE

企業の女性役員比率の3割達成を目指す「30%クラブ」が日本で始動した。既に30%を達成した企業からは、トップの決断や男女を区別しない能力評価を反映した結果との声が挙がった。より多くの企業で役員になる女性は増え、意思決定層の多様化が進むのだろうか。
北海道で老人介護ホームを手掛ける光ハイツ・ヴェラスは役員7人のうち4人が女性と、上場企業で最も高い女性役員比率を誇る。同社の役員は以前は全員男性だったが、2009年に業績悪化で会社存続の危機に直面。再建をはかるため就任した森千恵香社長(52)が男女問わず能力で登用した結果、女性役員が増えた。「女性を増やそうとしたのではない。当たり前のことをしただけ」と振り返る。
就任当初、社内には「女の下では働けない」と公言する男性も多かった。社長への猛反発もあったが、組織改革を断行した。サービスの質を高めるため看護師などの専門職を役員に積極的に登用した。現場をよく知る女性役員が増え社内の風通しが向上し、離職率も下がった。
女性役員が見いだした若手男性社員の1人と森社長が面会したところ、人事部からの否定的な能力評価とは異なり優秀な人材だった、という例もあった。森社長は役員を含めた人材育成について「専門性を生かした“分業”も一案。不得意な分野があるからダメと決めつけず、できることに着目して伸ばすことが大切」と語る。
化粧品製造販売のシーボンは役員12人中、女性が半数を占める。三上直子副社長(58)は同社に10年に転職。男女の区別なく成果で評価する社風があり、12年の取締役就任時も「環境が整っていたので不安は一切なかった」と話す。
同社は時短勤務の社員や若手を含む希望者向けに「シーボンカレッジ」を毎年開催。参加者は外部講師とのワークショップを経て作った「会社を通じて実現したい私の夢」の事業計画案を経営陣にプレゼンテーションする。同社は18年、20代だった女性社員の事業計画案を基に肌のカウンセリングシステムを刷新した。彼女は現在、プロジェクトマネジャーを務めている。
三上副社長は女性役員候補が社内にいないというのは「言い訳でしかない」と断言する。「育てよう、評価しようという努力が足りないのでは。時短勤務などで制約があっても成果を出す人はいる」。企業のトップが積極的に社内風土を変える勇気が必要と30%クラブの活動に期待する。
東京商工リサーチがまとめた18年の女性役員比率調査によると、上場企業3490社のうち女性役員がいない企業は6割を超える。東証株価指数(TOPIX)100を構成する企業の女性役員比率は17年時点で6.5%。30%クラブはTOPIX100社の取締役会に占める女性の割合を20年末に10%、30年末に30%にする目標を掲げる。
ただ、日本企業のガバナンス改革を主導してきた日本取締役協会の宮内義彦会長(オリックス シニア・チェアマン)は、女性役員の層の薄さを挙げ「数値的な目標を設ける段階なのか」と疑問を示す。ガバナンス助言会社プロネッド(東京・港)によると、4社以上の役員を兼ねる女性の社外役員は17人いる。酒井功社長は「今でも女性の役員候補は企業間の奪い合い」と話す。女性で役員の3割確保を目指すと「同一人物への集中を招く」(宮内会長)。
30%クラブはメンバーの自社での活動に加え、投資家を通じた働きかけも進める。現時点で4社が参加を表明。英国で17年から、日本では5月から活動する三井住友トラスト・アセットマネジメントの堀井浩之執行役員は「女性役員を入れる検討に至っていない企業も多いのではないか」と語る。「役員候補をまず女性から探すことが大切だ」
「10%の目標を達成するには、一般的にいって19、20年の株主総会が取締役を入れ替えるチャンス。時間はあまりない」(堀井執行役員)。当面は投資先企業のトップと対話して意識改革を促しつつ、メンバー間で成功事例の共有を進めていくという。

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最終更新:5/26(日) 12:15
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