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【英国人の視点】ランゲラック「優勝するためには…」。グランパス守護神が感じる手応えと好調の要因

5/26(日) 12:26配信

フットボールチャンネル

昨季の前半戦は最下位に沈み、最終節の引き分けによってJ1残留を決めた名古屋グランパス。しかし、対照的に今季は開幕から好調を維持。12節終了時点で2位に位置している。ゴールマウスを守るランゲラックは、得点や失点よりも「目を向けるべきもの」があると言う。(取材・文:ショーン・キャロル)

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●昨季とは正反対のチーム状況

 2018シーズン開幕から12試合を終えた時点では、名古屋グランパスはJ1最下位に沈み、本格的にトラブルに陥っていた。勝ち点はわずか8ポイントであり、そのうち7ポイントは最初の3試合で獲得したものだった。

 風間八宏監督のチームは、最終的に15試合にまで伸びる未勝利期間の真っ只中にいた。

 期間中には合計21失点を喫しての8連敗もあり、その後ようやく勝ち点3を手にすることができたのは、8月1日の第19節、ホームでベガルタ仙台に2-1で競り勝った試合だった。

 その後はなんとかチーム状態を立て直し、リーグ最多タイの失点数(最下位のV・ファーレン長崎と並ぶ59失点)を記録しながらも15位でJ1残留に成功。リーグ4番目の52得点という攻撃力に助けられてのことだった。そのうち半分近くは、24ゴールで得点王に輝いたジョーが叩き出したものだ。

 今季は同じ12試合を終えた時点で、状況は全くと言って良いほど異なっている。

 先週末の川崎フロンターレ戦を手堅く1-1のドローに持ち込んだ名古屋は現在2位。タイトルに挑戦できる可能性をしっかりと感じさせている。

 勝ち点を稼げているだけではなく、守備面での仕事ぶりも一変している。日曜日に豊田スタジアムで行われる松本山雅FCを前にした現時点で、ここまでのホームゲームは1点も奪われることなく全勝を挙げているのだ(2-0、4-0、1-0、1-0、2-0)。

●大事なのは「チャンス」の数

「昨季を思い出せば、スタートが良くなかった。本当に酷かった」。GKのランゲラックは等々力での試合後にそう語った。「シーズン後半には持ち直したが、それでも苦戦することもあった。だが今年は本当に良いスタートを切ることができた」

「FC東京戦を別にすれば、ほとんどの相手に対して支配できていたと思う。引き分けに終わった試合も、勝ってもおかしくなかった。まだ早すぎる時期ではあるが、今夜の試合も、ここ数週間にアウェイで戦った試合も大きな自信になる」

 実際のところ、堅実な守備を見せているのはホームサポーターの前で戦う試合に限らない。昨季は3失点以上を喫した試合が11回あり、全試合の約3分の1を占めていたが、今季は2失点以上の試合すらここまでわずか2回しかない。

「間違いなく失点は少なくなっている」とオーストラリア出身の守護神は語る。だがチームの守備面の改善を考えるにあたっては、失点数の他にも考慮に入れるべきものがあると主張した。

「大事なのは決めたゴール数や決められたゴール数に目を向けることよりも、チャンスの数だと思う。どの相手にも2回や3回のチャンスしか作られていないのは良いことだ。相手と戦いながら全くチャンスを作られないというわけにはいかないから、それくらいのチャンスを与えてしまうのは仕方のないことだけどね」

「去年は今年とは違い、毎試合のように10回のチャンスを与えたりしていた。そうすると毎回2点や3点は奪われてしまう。今はチャンスを食い止めることができていて、本当に試合を支配している。良いサッカーをすることができている」

●好調を支えるブラジル人

 そのサッカーを特に支えているのが、チームが擁する4人のブラジル人選手たちによる貢献だ。ジョーが前線を牽引し、ガブリエル・シャビエルとマテウスが両ウイングで機能し、中央ではジョアン・シミッチが絶好調を維持している。

「今日のような、2連覇中のチームとの厳しい試合で勝ち点1を取れるのは悪くないと思う。だが試合展開を考えれば、勝てていたとしても驚きではなかった」。今季の新戦力でここまで圧倒的な働きをみせているシミッチは、川崎との試合後にそう語った。

「後半には試合をコントロールできていた。勝っていてもおかしくはなかったと思う」

 先の川崎戦での見事な一撃で、グランパスに勝ち点1をもたらしたマテウスも同じ思いだ。昨季は15位に終わり、得失点差で辛うじてJ1参入プレーオフを回避した名古屋だが、今季は一番上に狙いを定めている。

「タイトル獲得が僕らの目標だ。そういう目標を持ったチームは、ホームであれアウェイであれ、全ての試合で勝ち点の獲得を狙っていかなければならない」と24歳のMFは語る。

「今日のような強敵とのアウェイゲームでも同じだ。負けなければ悪くはない。勝ち点を積み重ねていけば、シーズン終盤に優勝争いに絡んでいくことができると思う」

 もちろん、チームの成功は外国人選手だけに依存するわけではない。シーズン開始前にジョーは、チームが何か大きな成功を成し遂げるためには、助っ人スター選手と地元選手たちの間に団結が必要であると強調していた。今季、巨額の投資でビッグネームを招き入れながらも苦戦を強いられている他チームも、そのことを証明している。

●「優勝するためには失点しないこと」

「何より大事なのは、チームが勝利に向かって一致団結して戦えるかどうかだと思う」。2月のキックオフ・カンファレンスでジョーはそう話していた。「世界を見渡してみても、タイトルを獲得するのはいつも団結力を持ったチームだ。11人全員でチームを作り上げている」

「Jリーグに来る外国人選手の数は増えている。だが日本人選手と外国人選手がピッチ上で一緒に戦えなければ強いチームは作れない。そこが違いだ」

 今のグランパスは間違いなくそれができている。ハイテンポでアグレッシブなスタイルを長谷川アーリアジャスールや米本拓司、吉田豊らの選手たちが体現し、対戦する相手に楽な戦いをさせていない。

 だがランゲラックは、今年の最後にタイトル争いに残ることができるかどうかは、彼自身と彼の前にいる選手たちが守備面でのパフォーマンスを継続することができるかどうかで決まると考えている。

「シーズンの最初にも言ったように、使い古された言い回しがある。試合に勝つためにはゴールを奪えばいいが、優勝するためには失点しないことが大事だということだ。だからディフェンスをもっと強化しなければならない」

 今のところ30歳の守護神は、12ヶ月前のようにゴール前で忙しく働かなくて済むことを喜んでいる。

「去年は大変だったが、今は良くなっている。チームとして信じられないほど良い戦いができている。試合が終わるといつも、力強く戦ってくれたみんなに感謝を伝えている。今年の彼らの後ろにいられるのは素晴らしい気分だ」

「僕はいつも落ち着いて試合ができると感じられる。全員が監督の要求するとおりに、すごく高いレベルのプレーをしているからね。今のこのチームで戦えるのは最高だよ」

(取材・文:ショーン・キャロル)

【了】

最終更新:5/26(日) 12:26
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