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松山ケンイチが語る、岡田准一と共に作り上げた『白い巨塔』の裏側 「今の時代にも通ずる」

5/26(日) 12:04配信

リアルサウンド

「どこかでサンドバックにならなきゃいけない」

ーーそんな里見は、死に向かっていく財前をどう見ていたんでしょうか。

松山:まず物語の背景としては、財前は大学病院にいいように使われていて、里見はそれをわかっているから、悲しいし止めたいと思っている。同期で同じスタート地点から始まった2人だからこそ、同じところを見ていると思うんです。なので、里見は財前になんとしてでも生き残ってほしいと感じていたんじゃないでしょうか。やっぱり財前の魅力はその絶対的な自信で、そこに里見も引きつけられたのかなと。

ーー岡田さんは、財前が追い詰められるほど役に同化していったと話していましたが、そんな岡田さんを、松山さんはどう見ていましたか?

松山:特に後半は、日によって岡田さんの表情が違いました。順撮りではないから、単純に日を追うにつれて憔悴していっているわけではないのですが、今日はやけにげっそりしているなとか、今日は元気だなとか、いろんな状態がありましたね。でも岡田さんの芝居はぶれないし、コミュニケーションをとっていても変わらない。そういう部分が、財前っぽいというか、迫り来る死すらも自分の力で乗り越えようとしているのはすごく感じました。自分は岡田さんの表面しか見ていないからわからないですが、中ではすごい戦いがあるんだろうなと今になって思います。

ーー2人は対照的な役柄ですが、岡田さんの芝居から影響を受けた部分は?

松山:里見は財前を止めたくても論破できないんですよね。「休めよ」とか「そこまでいって何が面白いんだ?」とまでは言えるけど、「なんでいけないのか」とは説明できない。だから財前を前にして、どこか一歩さがった立場にしかなれなくて。その点においては、僕の演技も岡田さんに対して拮抗するのではなく、どこかでサンドバックにならなきゃいけないなと。邪魔したくないという気持ちはあったんですよね。里見もどこかで、財前をかっこいいなと思っている部分もあったと思いますし。

ーー岡田さんとは映画『関ヶ原』でも共演していますが、どんな印象でしたか?

松山:すごいパワーがある役者さんだと思っています。だけど、繊細な部分もあって細かくて、そこが好きですね。岡田さんの芝居を見ていると、同じ役者として面白くて仕方がない。ストーリーより面白いんですよ(笑)。自分にしかわからないだろって思いながらやっていそうなほど細かくて、そこを発見できた時の喜びがありますね。『関ヶ原』の時はワンシーンだけでしたが、今回はがっつり一緒にやらせていただいて、思ったより大胆なこともするんだなと思いました。裁判のシーンでも傍聴席側から部下たちを見たりするんですが、「勝ってるぞ!」とか「よくやったな!」とか、映ってないのにやっていて、それに八嶋(智人)さんとかもリアクションをとっているんですよ。

ーーそんなアドリブもあったんですね。

松山:岡田さんって、無茶振りでもやってくれそうな感じがするんです(笑)。今回も鶴橋監督と2人で話している時に、「岡田さんには最後の屋上のシーン、(左目をさして)こっちだけで涙を流してほしいんだよ」って言ってたんですよ。すごいこと言うなと思ってたんだけど、岡田さんだったら本当にやっちゃうんじゃないかと。結局その案はなくなったのですが、それくらいの技量と受け皿がある方だと思います。

若田悠希

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最終更新:5/26(日) 12:04
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