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<目撃>カメを叩き割って食べるチンパンジー、初の観察

5/27(月) 17:12配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

成功例は34回、爬虫類を食べることも初めて判明、研究報告

 カメは、厚い甲羅で身を守る。だが、チンパンジーは、この防御を突破する方法を見つけた。カメを勢いよく木にぶつけて、甲羅を叩き割るのだ。

【動画】カメを叩き割って食べるチンパンジー、初の映像

 アフリカ、ガボンにあるロアンゴ国立公園で、7匹のチンパンジーがリクガメの一種であるモリセオレガメの甲羅を叩き割って食べる様子が観察され、5月23日付けの学術誌「Scientific Reports」に論文が発表された。研究チームは5000時間を超える観察のなかで、この行動を何度も確認、群れの仲間とカメの肉を分け合う姿もよく見られたという。

 これは、チンパンジーが爬虫類を食べたという初の記録だ。また、捕食の方法も独特だと、論文の著者でドイツ、オスナブリュック大学の研究者シモーネ・ピカ氏は言う。

 カメを木の枝や幹にぶつけて叩き割る方法は、チンパンジーが道具を「叩きつける」技術と同じ部類のやり方だ。チンパンジーの「叩きつけ」は他にも知られており、石でクルミを叩き割ったり、シロアリのアリ塚を叩き壊したりする。

 それでも今回の叩きつけ行動は、重要な発見だ。「叩く行動は、極めてまれなのです」と英オックスフォード大学の霊長類学者リディア・ランツ氏は話す。なお同氏は、今回の研究には関わっていない。

 今回の発見は、チンパンジーがどうやってこれほど道具を使えるように進化したかを知る手がかりを与えてくれるかもしれないと、同氏は言う。例えばカメを叩き割った際に甲羅に残る物理的な痕跡を、ランツ氏ら研究者が調べられる可能性がある。

成功例は34回、おとなのオスばかり

 カメを叩き割ることに成功したチンパンジーは7匹。すべておとなのオスだ。叩き割るには、ある程度の力が必要だからだと考えられる。モリセオレガメは体重が1.4キロを超えることもあり、甲羅も頑丈だ。

 カメを叩き割るすべての場合で、腹甲と呼ばれる腹側の甲羅を破壊し、肉を取り出した。

 失敗例もあった。2匹と未成熟のオス1匹の計3匹が、カメを叩き割ろうと試みたがうまくいかなかった。しかし、すべての失敗例において、仲間が代わりに叩き割り、肉を分け合った。

 パンディと名付けられたおとなのオスは、特にカメが気に入ったようだった。カメを叩き割るのに成功した例は計34回観察されたが、うち20回がパンディによるものだ。ただし、その理由は、パンディが叩き割りの達人だったというよりも、パンディは人によく慣れており、観察する機会が多かったからかもしれない。

 カメを半分だけ食べて木に隠し、翌日その残りを食べるものもいた。このチンパンジーが、意識して将来の計画を立てていたことが示唆される。野生動物でこうした行動を研究したり証明したりするのは驚くほど難しく、かつては人間特有の行動だと考えられていた。

 不思議なことに、チンパンジーがカメを食べるのは乾期だけだった。しかし、エサとなる他の動物を見つけられないことが理由ではないようだと、論文の共著者であるドイツ、マックス・プランク進化人類学研究所の霊長類学者トビアス・デシュナー氏は言う。雨期にカメがあまり活動しなくなるためかもしれないが、これは推測に過ぎないと同氏は言う。

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