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遺言書の作成…「税理士と弁護士」の両方に相談すべきワケ

5/27(月) 10:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

本連載では、円満相続税理士法人の橘慶太税理士が、専門語ばかりで難解な相続を、図表や動画を用いてわかりやすく解説していきます。今回は「遺言書」について説明していきます。

相続トラブルの回避につながる「遺言書」

いきなりですが問題です。現在、日本人の何人に1人が遺言書を作っているでしょうか?

正解は、約10人に1人です。

遺言書には、大きく分けると2種類あります。作るのに手間とお金がかかりますが、法的な効力が強い、公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)という遺言。誰でも簡単に無料で作れますが、法的な効力が弱い、自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)という遺言。

※ちなみに遺言は「ゆいごん」とも「いごん」とも読みますが、どちらかが正しいということはありません。どちらも正しいそうです。一般的には「ゆいごん」を使うと思いますが、弁護士などは「いごん」を使うことが多いです。筆者は「ゆいごん」派です。

平成28年度に作成された公正証書遺言の件数は、約10万5千件です。余談ですが、近年、公正証書遺言を作る人が急増しています。9年間で1.4倍に増えています(図表1)。相続対策への関心の高さがうかがえます。

[図表1]遺言件数の推移(出典:日本公証人連合会)

一方で、簡単に作れる自筆証書遺言は、相続が発生した後に、家庭裁判所で検認(けんにん)という手続きをしなければいけません。平成28年に行われた検認手続きは約1万7千件です(図表2)。

そして、現在、日本では毎年どのくらいの人が亡くなっているのかというと、その数は約130万人です(図表3)。

公正証書遺言作成者10万5千人+自筆証書検認1万7千件=遺言書を作った人12万人(厳密にいうと作成数と検認数を合わせるのは正しくないですが)、そして、1年間に亡くなった人が約130万人なので、約10人に1人ということになります。10人に1人ということは、裏を返すと、遺言書を作らずに亡くなった人が10人中9人ということになります。

「遺言書は必ずなくちゃいけない!」というものではありません。なくてもなんとかなります。しかし「遺言書があって本当によかったですね!」ということや、「遺言書さえ残しておいてくれれば…」というシチュエーションはたくさんあるのも事実です。特に家族仲がよくない場合は遺言書があった方が絶対にいいです。

■遺産の分け方には基本ルールがあります

亡くなった人の遺産の分け方には法律で定められたルールがあります。そのルールは非常にシンプル。遺言書がある場合には、遺言書の通りに遺産を分けます。遺言書がない場合には、相続人全員で話し合いをして遺産を分けます(図表4)。

■相続発生後、遺言書の内容は変更できる?

ここで、遺言書にまつわる○×クイズをだします。

【クイズ】

とあるお父さんが遺言書を残してお亡くなりになりました。残された家族全員で遺言書を見てみると、家族全員で同じことを感じました。

「お父さん。せっかく遺言書を残してくれたのはありがたいんだけど…。これ、もうちょっと違う分け方に変えることはできないかしら!」

ここで問題です。相続人全員が同意した場合、遺言書に書かれた分け方を変更することができる。〇か×か

いかがでしょう? 正解は「〇」です。そうなんです。遺言書は法的に非常に強い効力をもっていますが、相続人全員が同意をした場合には、その内容を変更することが可能です。しかし裏を返すと、相続人全員が同意をすれば変更できるということは、一人でも「私はお父さんの遺言書の通りに遺産を分けたい‼」という人が現れた場合には、遺言書の通りに遺産を分けなければいけないということです。

※ちなみに、遺言書を残される人が、「家族全員が反対しても、絶対この形でわけてほしいんだ!」という場合には、あらかじめ遺言執行者という人を決めておき、その遺言執行者に「家族からどんなに反対されても、絶対にこの形で分けてくれ!」と強くお願いをしておけば、相続人全員が反対しても遺言書の内容通りに遺産分けが行われます。

相続人全員が同意をすれば遺言の内容を変更できる、という話をすると、

「それだったら、『愛人に遺産を残します』のような遺言は、相続人全員で同意すればなかったことにできるの?」

というような質問をいただきます。答えはどうなると思いますか? 正解は「NO」です。遺言書で「相続人以外の人にも遺産を残します」と書かれている場合には、その人(つまり愛人)の同意も必要になります。

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最終更新:6/14(金) 13:51
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