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日米貿易交渉で「時代錯誤」の自動車輸出規制がくすぶる理由

5/27(月) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 来日したトランプ米大統領と安倍首相の首脳会談が27日に行われる。“決裂”した米中貿易協議や膠着状態の北朝鮮非核化問題を念頭に「日米の連携」をアピールする狙いだが、そのためには、日米間の懸案の自動車と農畜産物の貿易問題で日米がどう折り合えるかがポイントだ。

 だが、合意までには日米間で隔たりがあるといわれる中で、30年前のデジャブのような風景が漂う。

● “浮上”した自動車輸出規制 日本は「打ち消し」に懸命

 大統領の来日を控えて、日本の通商担当者に“衝撃”が走ったのは15日のことだ。

 米国が検討していた輸入車や自動車部品への「25%追加関税」の判断期限を最大6ヵ月延ばす代わりに、トランプ大統領が日本や欧州と自動車対米輸出規制を合意するよう指示を出したと報じられた。

 急遽、日本側はライトハイザー米通商代表に連絡をとり、「そういった措置はとることはないですよねと、確認をして『ありません』という答えだった」(茂木敏充・経済再生相)という。

 だが、17日、判断期限の延長を発表したトランプ大統領の口から、「数量規制」は出なかったものの、輸入自動車や部品が安全保障を脅かすという認識は変えなかった。そのうえで「輸入を減らすことで国内の競争条件を改善しなければならない」と、輸出規制には含みをもたせた。

● 牛肉などの関税下げで合意目指す 焦る米国、TPP発効で不利に

 今回の日米交渉で米国側は、自動車・部品への「25%関税」をちらつかせながら、貿易不均衡(米国の対日赤字)改善や「日米自由貿易協定(FTA)」締結を求めている。

 これに対し、日本側は当面、交渉のテーマを自動車と農畜産物に絞り、サービスや投資などFTAにつながる問題は、自動車などの物品貿易交渉合意後にする「二段階」方式を提案、米国側も応じた。

 日本側が考える交渉シナリオは、牛肉や豚肉などの関税を、TPPの水準まで引き下げて米国に適用し、米国の対日輸出増の要求に応じることが、合意の「肝」とされている。

 昨年12月末、TPPが発効しオーストラリア産の安い牛肉や豚肉が輸入され始めた中で、TPPを離脱した米国産は不利な立場に置かれ、業界が政府を突き上げている。

 来年の大統領選での再選を意識し成果を誇りたいトランプ大統領や、交渉での実績を示したいライトハイザー代表にとっては、農畜産物は一刻も早く解決したい問題だからだ。

 「ライトハイザー代表は、交渉で強く出られるレバレッジを持っている時は、終始は強硬姿勢を貫くが、今回はそれがない。合意を急ぎたいのは米国で、日本は関税を下げても最大でTPP水準と言っていればいい。交渉が長引くほど、米国は譲歩してくる」と、日本側の担当者は言う。

● 自動車は対米投資増で対応 「日本の筋書きで進んでいた」

 一方で自動車については、部品メーカーも含め多くの日本企業が現地生産に切り替えていることから、こうした投資が米国の雇用に貢献していることを訴え、今後の対米投資増の取り組みを何らかの形でコミットすることで、米国側と折り合えるというのが日本側の読みだ。

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最終更新:5/27(月) 6:00
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