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セレッソが戦術的チームに激変。 スペインの名将の策で低迷を打破した

5/29(水) 7:37配信

webスポルティーバ

迷いのなかで、ロティーナはヴィッセル神戸との開幕戦で、急遽5-4-1での戦いを選択している。押し込まれながらも一発を放り込み、歓喜の勝利を飾った。そして、この日の戦いがスタンダードになっていった。

 しかし皮肉にも、これが苦難の始まりとなる。

 バリケードを作った人海戦術は、大崩れしない。セレッソの場合、前線に一発で試合を決められる選手もいる。しかし論理的な攻守ではないために、自信を持って拠り所とする戦いにならない。必然性に欠け、不安定で偶発的なのだ。

「ルヴァンは結果が出ていたので、それが大きかったですね」

 水沼は分岐点をそう説明している。

「(5月4日の松本)山雅戦の前です。『まず守備のところで、サイドハーフとしてよさを出してくれ』と監督に言われた。やれる自信はありましたよ、ルヴァンでは(4-4-2で)バランスの取れた戦いができていたので。それで松本戦に勝てたのが大きかったですね。これがフツーだよって(笑)」

 結局、ルヴァンでの戦いをリーグ戦に持ち込むことで、セレッソは息を吹き返した。

「自分たちの防御ラインを破るようなパスを出させない」

 ロティーナは、そこを徹底させた。まずは2トップが高い強度の攻守を見せる。ボランチ、センターバックが中央を固め、サイドの選手は攻め口を封じる。そして、攻撃に転じるときには、一気に飛び出す。単純には蹴らず、ポゼッションを守備にも用いた。これでチームの戦いが安定し、好プレーも出てくるようになった。

 FC東京戦の決勝点は象徴的だろう。水沼が中央へ動き、相手のサイドバックを中に引き連れる。これで右サイドバックの松田陸が、完全にフリーの状態に。時間的猶予を得たなかでクロスを入れると、FWブルーノ・メンデスが巧妙にFC東京DFの前のポジションをとって、ヘディングで流し込んだ。

「東京は中に絞るので、試合前から狙っていた形ですね」

 リーグ戦で4試合連続先発出場の水沼はそう振り返っている。

「守備でも、ずれながら守って、そこでサイドチェンジされたとしても、走れる選手ばかりなので、どうにかなる」

 セレッソは、見違えるほど戦術的なチームになった。たとえば、走力の高いMF奥埜(おくの)博亮はこの日、2トップの一角に抜擢され、13km近くを走っている。頭を使い、走れる選手で構成することによって、実に手堅いチームになった。

 セレッソは9位まで順位を上げた。好調のルヴァン杯もプレーオフに進出。勝利の連鎖が生まれつつある。スペインの名将ロティーナが、いよいよ腕をふるう。

小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

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最終更新:5/29(水) 7:37
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