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米国とメキシコの「国境の壁」3,200kmを旅したら、トランプが語らない真実が見えてきた

5/30(木) 18:10配信

WIRED.jp

米国のトランプ大統領は、メキシコとの国境はドラッグや暴力がはびこる“戦場”なのだと言う。だが、それは本当なのだろうか──。素朴な疑問を抱いた米国のフォトグラファーたちは、国境沿い約3,200kmを5カ月かけて旅し、何千人にもインタヴューを重ねた。人々の親しみ溢れる声と日常生活から見えてきたのは、誰も壁など求めていないという事実と、もっと生活に根ざした現実的な課題だった。

旅から身につまされたこと

写真家エリオット・ロスとライターのジュヌヴィエーヴ・アリソンは、米国とメキシコの国境2,000マイル(約3,200km)を旅しようと決心した。最新の出版プロジェクトのための旅で、当初は約5週間ほどかかると見込んでいた。ところが実際のところ、約5カ月もの期間を要したのだ。

「ちょっと考えが甘かったですね」と、ロスは笑いながら認める。

ニューヨークに住むロスとアリソンは、ワシントンD.C.で2017年1月に開かれたトランプ大統領の就任式に出席したあと、このプロジェクトを思いついた。そして就任式に出席した人たちに、ニューヨークの不動産開発者であるトランプをなぜ支持するのか、ふたりは尋ねてみた。いちばん多く挙がった理由は、移民に対するトランプの強硬姿勢、とりわけ「国境の壁」の必要性を訴える姿勢だ。

「彼らにとって、非常に感情的な問題でした。けれども、ぼくたちは首をかしげました。なぜなら、ぼくたちが話した人たちは誰ひとりとして国境地域の出身ではなかったからです」と、ロスは当時を振り返る。「それでも、誰もが国境に関して確固たる考えをもっていたし、とても強い感情も抱いていました」

こうした強い感情がどこから来るのかを理解するために、ロスとアリソンは自分たち自身で国境を見なければならないと感じた。ロスは一度だけ行ったことがあったが、アリソンは一度も国境に行ったことがなかったのである。

国境地帯の本当の姿

米南部の国境は、トランプが言うように、そしてマスメディアが頻繁に報道するように、本当にドラッグや暴力がはびこる“戦場”なのだろうか。そこに暮らす人たちにとって、普段の生活はどんな感じなのだろう。そして、壁を建設するという案を住民たちはどう思っているのか。

その答えを求めて、アリソンとロスはテキサス州ブラウンズヴィルを出発した。メルセデス・ベンツのヴァンを運転しながら進み、しばしばそのなかで寝泊まりもしたのだ。ふたりはリオ・グランデ川に沿ってテキサス州を西へ行き、国境をたどってニューメキシコ州とアリゾナ州の砂漠を抜け、サンディエゴで旅を終えた。

さまざまな規模の国境の集落を訪ね、数えきれないほどたくさんの人々に会い、その多くと友だちになった。「たくさんの人たちが、これほど長い間ぼくたちがヴァンで生活していると聞いて驚いていました。そしてぼくたちを呼んで、シャワーを使わせてくれたり、タコスをごちそうしてくれたりしたのです。家の私道で1泊させてくれることもありました」と、ロスは説明する。

彼はこうした人たちの数々の姿を、親しみ溢れる写真に収めた。

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最終更新:5/30(木) 18:10
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