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「その場で死ぬかもしれませんよ!」……財津和夫71歳がガンから復帰するまで

6/2(日) 6:00配信

文春オンライン

「もう二度とチューリップのステージに立てないかもしれない、と覚悟したこともありました。でも今、こうしてまたステージで歌うことができる。それが本当にありがたいし、自分がやれることはこれなんだなと思います」

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 財津和夫さんに大腸がんが見つかったのは2年前のこと。ちょうどチューリップ45周年記念ツアーの最中で、6月以降に予定されていたコンサートは中止となった。

 回復を願うファンや関係者の祈りが通じ、幸いにして治療は成功。「くだらない冗談も言えるほど、今は快調です」と、ご本人は笑うが、がんだと知ったときの心中は察するに余りある。

「5月末、仕事先の福岡で意識がなくなるほどの腹痛に襲われたんです。救急病院での診断は腸閉塞。おそらく大腸がんによるものなので、すぐに手術したほうがいいと言われて……。東京に戻ってから手術をしたいと伝えたら、『飛行機なんかに乗ったら、どうなるかわかりません。その場で死ぬかもしれませんよ!』と強く反対されました。それを押し切って東京に移動したんです」

 無事に帰京、手術もうまくいったが、その後の抗がん剤治療はつらかったという。副作用で手足が痺れ、味覚や嗅覚にも影響が。何も口に入らず、すっかり痩せたが、それでも翌年春にはソロコンサートツアーに復帰した。

「『みなさん抗がん剤治療をやりながら働いておられますよ』と主治医に言われ、そうなのかと。だけど力は出ないし、足元もおぼつかない。坐ったままなんとか歌いましたが、ギターを持つ手も感覚がなかった。でも、お客さんは温かく迎えてくれて……。闘病中の励ましにも力をもらいました。人間はこうやって支えられているのだとしみじみ感じた。だからこそ、絶対に健康になってステージに立ちたいと思ったんです」

「今はどんなものもおいしくいただける。それが一番幸せ」

 日本のポピュラー音楽界のレジェンドも御年71歳。実は、がんが発覚する半年前に鼠径ヘルニアの手術を受けるなど、ここ数年、不調が続いていたという。

「がんの手術をしたことで、むしろすっきりしました。退院後しばらくは“聖人”になったような気がしましたが、早くも俗人に戻った(笑)。しかも俗人である喜びが前よりも大きいんです。今はどんなものもおいしくいただける。正直、それが一番幸せかな」

 現在、闘病でキャンセルした公演の“振替”と快気祝いを兼ねたチューリップのツアー中。ファイナルは7月7日、出身地・福岡で行われる。この日はアマチュア時代から苦楽を共にしたギタリスト、安部俊幸さんの命日に当たる。

「安部君が亡くなって5年。彼に想いが届けばいいなと。メンバーが元気なら50周年ツアーも可能ですが、これが最後かもしれませんからね」

ざいつかずお/1948年、福岡市生まれ。学生時代にチューリップを結成し、1972年、「魔法の黄色い靴」でデビュー。「心の旅」「青春の影」「サボテンの花」「虹とスニーカーの頃」などヒット曲多数。ソロ活動のほか、作曲家として松田聖子らに楽曲を提供。大阪芸術大学で教壇にも立つ。

INFORMATION

「TULIP concert tour 『is There』」
7月7日まで札幌、岩手、青森、鹿児島、大阪、長崎、福岡で公演
http://www.zaitsukazuo.com/tulip/index.html

梶山 寿子/週刊文春 2019年6月6日号

最終更新:6/2(日) 11:30
文春オンライン

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