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【張本勲の“喝”】連敗を抜け出すには指揮官が“新しい風”を吹かせることが必要だ/張本勲コラム

6/3(月) 10:59配信

週刊ベースボールONLINE

 開幕から2カ月ほどが過ぎた。普通であればこれくらいの時期からシーズンの行方が少しずつ見えてくるものだが、今年のセ・リーグはいまだに見通しが立っていない。この2カ月の間に激しく順位が入れ替わっている。それというのも連勝連敗をするチームが多いからだ。

 巨人は安定した戦いを続けてきたが、5月半ばになってついに広島に首位を明け渡した。その広島も、5月の段階で11連勝もすればもっと独走していてもおかしくはないはずだが、4月に5連敗、4連敗したことが響いている。序盤は巨人に食らいついていたヤクルトも16連敗を喫し、開幕前は面白い存在になると思っていたDeNAは4月に10連敗したことで下位に沈んでいる。

 なぜそんな大型連敗が起きてしまうのか。もちろん、それが分かれば誰も苦労はしない。1998年にはロッテがプロ野球ワーストの18連敗を喫した。その連敗中に、当時監督を務めておられ、今年3月に亡くなられた近藤昭仁さんに一度お会いした。ゲッソリとした表情で、「ハリ、何とかならんか」と聞かれたが、部外者の私に理由が分かるわけはなく、無責任なことを言うわけにもいかない。「私には分かりません」と、正直にそうお伝えするしかなかった。

 ロッテは18連敗の間に、引き分けを含めて延長にもつれた試合が6試合もあった。17連敗目の試合では9回二死から黒木知宏が同点弾を浴び、延長で敗れている。圧倒的な力の差というより、ちょっとした勝負のあや、もつれが悪い方向に転び続けた。経験豊富な近藤さんでも止めることができない、悪い流れができてしまっていた。

 連敗にはそれぞれに理由があるはずだが、選手の調子が悪い、相手が強かったというだけでは片づけることはできない。そうでなければ10連敗、ましてや18連敗という大型連敗の説明はつかない。

 ただ、過去の大監督を参考に考えるなら、“新しい風”を吹かせることが一つの方法になることは間違いないだろう。水原茂さんは1950年代の巨人を率いてリーグ優勝8回、日本一4回という黄金時代を築き上げた大監督だ。その水原さんが61年から私がいた東映の監督になった。そのとき、チームが悪い流れになったときに、いかに流れを変えればいいのか、と尋ねたことがある。

 水原さんは55年の巨人監督時代の日本シリーズの話をしてくれた。南海(現ソフトバンク)相手に1勝3敗と追い詰められたのだが、第4戦で途中出場してともに三塁打を放つなど、勢いを感じた若手の加倉井実さん、藤尾茂さんを第5戦のスタメンに抜てき。藤尾さんは先制の3ラン、加倉井さんはダメ押しの二塁打と、当時は21歳になったばかりの2人の活躍で流れを引き戻し、日本一につなげた。

●張本勲(はりもと・いさお)
1940年6月19日生まれ。広島県出身。左投左打。広島・松本商高から大阪・浪華商高を経て59年に東映(のち日拓、日本ハム)へ入団して新人王に。61年に首位打者に輝き、以降も広角に打ち分けるスプレー打法で安打を量産。長打力と俊足を兼ね備えた安打製造機として7度の首位打者に輝く。76年に巨人へ移籍して長嶋茂雄監督の初優勝に貢献。80年にロッテへ移籍し、翌81年限りで引退。通算3085安打をはじめ数々の史上最多記録を打ち立てた。90年野球殿堂入り。現役時代の通算成績は2752試合、3085安打、504本塁打、1676打点、319盗塁、打率.319

写真=BBM

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最終更新:6/17(月) 21:00
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