ここから本文です

1万2000個の人工衛星打ち上げへ、米スペースXの計画に天文学者は不安の声

6/3(月) 7:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

空さえ見えれば、地上どこからでも高速通信を可能に――マスク氏通信衛星計画の功罪

 米スペースX社のイーロン・マスク氏が思い描くようにことが運べば、近い将来、夜空には新たに約1万2000個の「星」が輝きはじめることになる。

ギャラリー:輝くロケット雲から渦巻く木星の嵐まで、2018年に撮影された宇宙写真21点

 星といっても、同社が計画する巨大通信衛星網「スターリンク」の人工衛星が反射する光だ。スターリンクは、これまで電波が届かなかった僻地や、航空機、船舶、自動車が地球上のどんな場所にいても高速ブロードバンドを利用できることを目指している。完成は2020年代中頃としている。

 すでに計画は動き出している。2019年5月23日には、スペースX社のファルコン9ロケットが60基のスターリンク衛星を軌道に運んだ。配備後、一企業が夜空の見た目を一方的に変えてしまうことは倫理面で問題だという批判の声が上がった。

 マスク氏は当初、人工衛星に気付くことなどないはずと請け合っていたが、現在、同社の衛星群の姿は世界各地で観測されている。通信衛星群が私たちの頭上をいつどこで通過するかを計算できるオンライン追跡サービスまで登場した。

 天文学者たちは、スペースX社の人工衛星が地上からの天体観測に及ぼす影響や、ただでさえ混雑している軌道環境に冷蔵庫サイズの小型人工衛星が配置されることに懸念を表明している。

 そこで、スターリンク計画がどんなものなのか、同様のプロジェクトは見慣れた夜空の眺めを台無しにするのかを、整理して考えてみたい。

マスク氏のスターリンク計画とは?

 まずはマスク氏の考えるスターリンク計画をおさらいしてみよう。マスク氏は、高度350kmから1150kmの地球低軌道に、約1万2000基のスターリンク衛星を打ち上げる予定だ。この通信衛星は、クリプトンを燃料とする姿勢制御用ロケットを90分おきに点火して目標の軌道まで上昇してゆく。今後1年で約720基の人工衛星を投入する予定だ。

 計画通り通信衛星が軌道上に配備されれば、世界のどこにいても、途切れることのない高速インターネットサービスが利用できるようになるという。

1/4ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ナショナル ジオグラフィック日本版の前後の記事

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

あわせて読みたい