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年金のお得な「繰下げ」を選ぶ人が1%しかいない理由。 (野口俊晴 ファイナンシャル・プランナー)

6/3(月) 6:32配信

シェアーズカフェ・オンライン

■年金のもらい方はどう変わるか

政府は70歳までの定年延長と継続雇用など法改正案(高年齢者雇用安定法改正)の方針のポイントを決めた(5月15日「未来投資会議」)。この方針では年金改正に直接言及していないが、今年は財政検証の年でもあり、年金支給の70歳引上げ、75歳までの繰下げ幅の拡大、75歳までの厚生年金保険料徴収なども現実味を帯びてきそうだ。

これからの長寿社会では75歳まで働くことの是非が問題ではなく、その年齢まで働かざるを得ないことで、様々な要素が個人生活に絡む。当然、年金をもらう時期も大きな関心事と言える。

その関心事の中でも年金の「繰上げ・繰下げ」の損得がある。簡単に言えば、早めに貰うか遅く貰い始めるか自身で決めること出来る仕組みにおいて、どちらが得かということだ。単純に金額上の損得から言えば長生きをすれば繰下げが得と言える。それも、受給が遅ければ遅いほど得となる。しかし問題はそう簡単ではない。だから受給者の多くが悩むのだろう。なぜ金額の損得で解決できないか見てみたい。

■得なのに繰下げ受給者は少ない
まず、簡単に年金の繰上げ・繰下げについて説明しておく。標準受給資格年齢(現行65歳)を基準に受給を繰上げて早くもらうと1カ月につき0.5%(年6.0%)が本来の受給額より少なくなる。反対に繰下げて遅くもらうと1カ月につき0.7%(年8.4%)が受給額に上乗せされ、それぞれの額が亡くなるまでもらえる。

こうしたことから「人生100年時代」と言われる昨今、長生きをする前提ならば繰下げて多く長くもらう方が得、という結論が一般的だ。それなのになぜ、繰下げ受給者が少なかったのか。厚生労働省資料によると、繰上げ受給者(受給者全体の11.90%)に比べ繰下げ受給者(同1.26%)の方がはるかに少ない(「老齢年金受給者実態調査」平成29年)。

これはどういうことか。繰下げが得だと知らないのか。あるいは年金の仕組みがよくわからないのか。それともわかった上で繰下げないのか。

同省の今年3月の年金部会資料(社会保障審議会)でも、60歳以降の年金のもらい方について、モデルケースとして数パターンが金額入りで図解されている。これを見ると、確かに金額的には「このパターンならこのもらい方がいい」と選択するための一つの指針となっている。だがそれは、どれも標準的な受給額と収入支出で生活するパターンである。標準パターンだから、圧倒的多数の標準以外の人は迷うのである。

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最終更新:6/3(月) 6:32
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