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創業家を残したレオパレス、疑わしい改革の本気度

6/3(月) 7:00配信

日経ビジネス

 「深山氏は建築・賃貸事業部で数多くの企業との契約を進めてきた。一方、私はそうした部門に直接携わっていないので、知見を頂戴したい」

「院政」――。レオパレス21創業家出身の深山英世・元社長は非常勤の相談役となる(写真:共同通信)

 アパートの施工不備が相次いで見つかっている賃貸大手の「レオパレス21」は29日、創業家出身の深山英世・元社長(30日付で退任)を含む7人の社内取締役が6月27日の定時株主総会をもって交代すると発表した。ただし、深山氏については非常勤の相談役として処遇することも併せて発表。30日付で昇格した宮尾文也・新社長は、深山氏の処遇について、冒頭のように説明した。

 その言葉と処遇に触れて関係者の胸をよぎったのはこの二文字だ――。「院政」。

 顧問として同社に残る深山英世・元社長は、創業者であり33年にわたって経営トップを務めた深山祐助氏の甥(おい)に当たる。

 弁護士による第3者調査委員会が29日にまとめた「施工不備問題に関する調査報告書」には、創業者・祐助氏の法令順守の精神から程遠いワンマン体制と、それを正せないガバナンスの機能不全が赤裸々に描かれている。

 1973年に不動産仲介業から同社を起こし、辣腕を振るった。バブル崩壊後の不動産不況による経営危機から脱出しようと土地所有者から注文を受けてアパートを建設し、これを30年間一括で借り上げる現在のビジネスモデルを確立。建築士の資格を持たないにも関わらず「特級建築士」を自称し、少ない労働力で簡易に組み上げる「プラモデルのような」建造モデルでコストカットや工期短縮を徹底して、競合に対して優位に立った。

 その暴走を止めるガバナンスは同社には機能しなかった。「祐助氏とそれ以外の社員という区別しかない」というワンマン体制のもと、祐助氏のアイデアの実現ばかりが優先され、順法意識や品質は置き去りに。ついには、自治体への申請書類の虚偽記載などに至った。報告書は「指示をして商品の開発を推し進めつつ、法令適合や品質については知らないという姿勢こそが、根本的な原因の1つだ」とその責任を断じている。

 祐助氏は2006年、入居者から徴収した手数料を私的流用した問題で引責辞任。施工不備のアパートが開発されたのは祐助氏が経営トップだった時代だが、経営トップの意向を優先するあまり、各現場の責任者が当事者意識を欠き、順法意識も低い企業風土は現在まで引き継がれた。

 施工不備問題をめぐるレオパレスの対応は常に後手後手で、監督官庁の国土交通省も業を煮やしてきた。第3者調査委のメンバーである山本憲光弁護士は「対応の遅さは、法令違反に対する感度の低さの現れ。以前の企業風土は変わっていない」と指摘する。

 報告書を受けて、新体制では社外取締役を2人増やし、社内と社外の取締役を5人ずつとし、ガバナンスの強化を図るとする。宮尾社長は「企業風土を改革しなければいけない。その際に経営体制を刷新するのが1番必要だと判断した」と語るが、創業家の温存を図った今回の人事からはおよそ、その本気度は伝わってこない。

奥平 力

最終更新:6/3(月) 7:00
日経ビジネス

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