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そもそも円は弱い通貨?貿易赤字の常態化で「円安」の時代へ

6/4(火) 17:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

今回は、今後の円安傾向を想定させる、具体的な事象について見ていきます。※富裕層だけが存在を知るプライベートバンク、ピクテ。この金融機関の歴史は古く、富裕層の資産運用を通じて築いたノウハウがあります。本連載では、ピクテの投資手法をわかりやすく紹介しながら、初心者の資産運用にも役立つ投資テクニックを紹介します。

なんとなく「円は高くなるもの」と信じていないか?

皆さんはなんとなく「円は高くなるもの」と信じ込んではいないでしょうか? ただし、その納得できる理由を説明できる方は多くないのではないかと思います。

為替の決定要因に経常収支を考える方もいますが、私は個人的に貿易収支を重視しています。経常収支は直接投資や証券投資に伴う利子・配当収入が多く含まれますが、それらの多くは日本に送金されずに再投資に回されるので、為替への影響は貿易収支よりも相対的に少ないと考えるからです。

過去、日本の貿易収支はドル・円レートの約1年先行する投資判断に有効な指標でした。貿易収支が改善するとそれから約1年後に円高トレンドとなり、逆に悪化すると円安トレンドとなったからです。

リーマン・ショック直後にそのトレンドは崩れていますが、これは日本銀行が米国や欧州の中央銀行のような大胆な量的金融緩和を行わなかったことが要因だと考えています。米国と欧州の通貨供給量が急増した結果、供給量が相対的に抑制されていた日本の円の需給が逼迫したのです。このため貿易収支が悪化していたにもかかわらず円高となるという異常な状況が生まれたのです。

もしこの期間(2009年2月から2010年5月まで)、円と貿易収支が従来と同じ関係を維持していたとすると(図表1)、その後の貿易収支は円のトレンドをほぼ正確に示唆していることが分かります。

2016年9月ごろから円高トレンドが終焉していますが、これはちょうど日本銀行が長短金利操作付き量的・質的金融緩和を実施し始めた時期と一致しています。つまりこのタイミングでは、今度は日本が大胆な量的金融緩和を行い円の需給が緩和した結果、円高が抑制されたと考えられます。

その貿易収支が最近元気ないのです。つまり、円高を生み出していた力を日本が失いつつあると言えます。

東日本大震災直後、製造業が生産拠点をアジアに移した結果、海外からの輸入が増加し貿易赤字に転じました。それでも2016年以降は黒字に転じていますが、その黒字額はかつての水準の半分程度です。

各国の輸出シェアの推移を分析しても、日本の輸出競争力低下は明らかとなっています。日本は依然として世界第4位の輸出大国(2016年現在)ですが、その輸出額は10年で1.3%減少しています。一方、同じ期間で世界の輸出額は31%拡大しているのです。

今後、日本では少子高齢化がさらに加速していきます。企業は人手不足に加え需要増の見込めない国内ではなく、海外の生産拠点を強化するでしょう。その結果として、ますます輸出競争力の低下が予想されます。「資源のない国、日本」は、このままだと貿易赤字が常態化することも想定に入れておくべきです。これらの条件から、私は長期的には円安傾向になっていくと考えているのです。

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最終更新:6/18(火) 11:30
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