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受精卵を“診断”するAIは、かくして不妊治療に貢献する

6/5(水) 12:33配信

WIRED.jp

人工知能(AI)が不妊治療の分野でも役立つ可能性が見えてきた。ディープラーニングによってアルゴリズムに受精卵の判定方法を学習させることで、うまく着床に結びつく確率が高い受精卵を正確に見極められることが、研究によって明らかになったのだ。まだ実用化には課題もあるが、妊娠を望む人たちにとって大きな意味のある技術になる可能性を秘めている。

広がる支援の可能性とは?

子どもを授かりたいと強く望む女性がいるとしよう。あるいは、子宮を有しながらも自らの性を認められず、それでも家族をもちたいと願う人がいたとする。そういった人たちが妊娠の確率を上げるために不妊治療クリニックを受診しようと決意した場合、そこで接点をもつのはおそらく医師や看護師、もしくは受付係だろう。

逆に、胚の研究分野の知見を深めた大勢の胎生学者たちに出会うことはないはずだ。学者たちは閉ざされた研究室の扉の奥で、卵子の採取、受精・着床に向けた受精卵の育成といった作業に取り組んでいる。

胎生学者の仕事のうち特に時間を要するのが、受精卵の格付け作業だ。顕微鏡で形状を見ながらクオリティを点数化していく。丸みを帯び、均等な細胞分裂が見られれば高得点、細胞が割れたり欠けたりしているのものは不合格となる。このスコアをもとに、優先的に着床させる受精卵を決める。科学よりも直感に頼った、あまり厳密とは言えないやり方といえる。

これに対して、細胞を採取してDNAを抽出して異常の有無を調べる比較的新しい手法は、着床前遺伝子スクリーニングと呼ばれている。より多くの情報が得られる一方で、ただでさえ高額な不妊治療にさらなる費用が追加されるうえ、検査結果が出るまで受精卵を凍結しておかなければならない。

つまり、人の手による受精卵の格付け作業は、精度は粗いものの患者の体に負担をかけずに済み、多くの不妊治療クリニックにとって導入しやすい方法というわけだ。

ところが、ある科学者チームによると、受精卵の観察というこの非常に時間のかかる作業を、アルゴリズムに学習させることができたという。しかも、その精度は手作業よりはるかに高いというのだ。

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最終更新:6/5(水) 12:33
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