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U-20日本代表はなぜ敗れたのか。日韓戦で突き付けられた現実。韓国に上回られたある部分とは【U-20W杯】

6/5(水) 12:33配信

フットボールチャンネル

 FIFA U-20ワールドカップ・ラウンド16、U-20日本代表対U-20韓国代表が現地時間4日に行われ、0-1で韓国が勝利を収めた。相手の固い守備ブロックに手を焼き、なかなかチャンスを決め切れなかった影山ジャパン。試合終盤に先制点を献上し、そのまま敗れる形となった。ここまで順調に歩んでいた日本代表に、何があったのか。そして選手が語る韓国にはあって日本に足りなかった部分とは。(取材・文:本田千尋【ポーランド】)

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●「なかなか上手くいかなかった」(山田康太)

 順調に進んでいたはずの現実は、いつも唐突に暗転する――。4日に行われたFIFA U-20ワールドカップのラウンド16。U-20日本代表は、美しく小さな街ルブリンでU-20韓国代表と雌雄を決した。

 前半は[5-3-2]の布陣で引いた韓国代表を攻めあぐねた。序盤はシンプルにロングボールを蹴って様子を見た日本代表だったが、次第にボールポゼッションを高めていく。だが、敵のディフェンスの周囲で回すことはできても、中央を崩して打開することはできない。試合後にSB菅原由勢が語るところでは、日本は韓国が5バックで来ることは予想していたという。

「5バックで来るっていう予想はしていて、その通りに練習もしていました。やっぱり最後のところの質というか、ゴール前で決め切るところの質にフォーカスすると、やっぱり僕のプレーもそうですけれど、一つの何気ないクロスだとか、ファーストタッチもポジショニングもそうですし、一つひとつに甘さがあるから崩せなかったと思うし、悔しいなと思います」

 MF山田康太は、思うように行かなかったゲームプランに歯がゆさを覚えた。

「あっち(韓国代表)は中3日だし、前から追うのもキツイだろうと思っていて、ああやってくるのはなんとなくわかっていましたけど、上手くやれなかったなあと思います。ある程度ボールを持てるのは分かっていたし、その中でもっとクロスの本数だったり、90分間嫌なところを突いていったら、相手も1、2回はボロが出るだろうっていうところで、相手の嫌なところをたくさん突いていきたいなって思っていたんですけど、なかなか上手くいかなかったです」

 セカンドトップに入った郷家友太は機能せず、途中から右サイドの西川潤と入れ替わった。FW宮代大聖は、前線から中盤まで広く動いて体を張り、ボールを貰って囲まれながらドリブルで打開しようとした場面もあったが、独りでは限界があった。

●欠いてしまった攻撃面のクオリティ

 もちろん日本代表は守備面でハードに戦った。193cmの屈強なFWオ・セフンに対して、CB瀬古歩夢は果敢に空中戦を挑み、キーマンの10番イ・ガンインに対しても、複数できっちり対応するなど、決定的な仕事をさせなかった。

 しかし攻撃面では、韓国の固いディフェンスをこじ開けるだけのクオリティを、どうしても欠いた。試合後の会見で、影山雅永監督は「前半は攻めていながらも、決定機は数えるほどだったと思います。相手の急所を突く動きが、ボールの配給がなかなか出なかった」と振り返っている。

 影山監督が続ける。

「その中で、もっともっとゴールに迫っていこうということで、後半に選手たちを送り出しましたけど、オープンな試合になったところで最後ほころびが出てしまった。残念な失点だったなと思います。

ハーフタイムで、『あのまま韓国は終わらないだろうと、そして出力を上げてくるだろう、そこからが勝負だぞ』と言っていたので、9番の選手(オ・セフン)へのロングボールは警戒していましたけど、そこからのこぼれ球をなかなか拾えなくなってしまったっていうのは、相手にちょっとずつペースが移っていってしまった部分かなと思います」

 後半に入ると、韓国代表は布陣を[4-4-2]に変更。右サイドにスピードのあるウム・ウォンサンを投入し、チームとして前に出てくるようになった。この11番のサイドアタックに左SB鈴木冬一は度々振り切られ、手を焼いた。鈴木と同サイドでコンビを組んだ山田は、次のように振り返っている。

「スピードがある選手っていうのはわかっていました。でも1発で11番にロングボールが来たりしていたので、自分も冬一と 2人でディフェンス、っていう形にはならなかったので、もう少し2人で抑えられたらなあと思いました」

●立て続けのチャンスもモノにできず

 もっとも、韓国の布陣変更に対して、山田は「とまどいはなかった」という。

「とまどいはなかったですけど、向こうにターゲットが1人いる中で、そこに蹴られて、そのセカンドボールが拾えなくて毎回押し込まれるような展開が、相手のなんでもないようなビルドアップでもないロングボールで毎回ラインを下げられてしまっていたので、その点はちょっと反省点かなあと思います」

 193cmのオ・セフンを目掛けたロングボールと、そのセカンドボールを回収できなかったことを後半のポイントに挙げたのは、影山監督と同様である。

 こうして韓国代表の9番、10番、11番が個の力を強め、日本代表は敵の攻勢に晒されていく。しかし「オープンな試合になった」ことで、前半に比べれば、日本にもチャンスが生まれるようになった。GK若原智哉もグループリーグに続いて安定したパフォーマンスを見せたことで、韓国に「ちょっとずつペースが移っていって」も、主導権を完全には渡さなかった。

 影山監督は振り返る。

「失点をせずにじっくりと耐えながら、今度は相手のプレッシングをどうかわしていくかの部分で、さまざまな動きや努力をした結果、いくつかのチャンスを作り出せたので、そういった意味では、相手の出方を見ながら、自分たちを勝利に近づけていくという作業は、選手たちは非常に良くやってくれたと思います」

 70分を過ぎると、日本代表は立て続けに決定機を作り出していく。

 71分。藤本寛也が蹴ったCK。ファーで受けた宮代が、ゴール前で待つFW中村敬斗へボールを送る。途中出場のアタッカーは、ヘディングで韓国のゴールを陥れようとするが、敵のGKに左手一本で防がれてしまう。

 77分。再びCKからCB小林友希がヘディング。ゴールの右に外れる。

 78分。右サイドを抜け出した中村がペナルティエリアに入って、1人かわして左足でシュート。DFにブロックされて跳ね返ったボールを、宮代が拾ってそのまま右足を振り抜く。しかし、ボールは左のポストを直撃。ゴールを割ることはできなかった。

●終盤の失点で敗北。その原因は?

「いくつかのチャンス」で決め切れないでいると、往々にして流れは向こうに傾いてしまうものだ。84分、菅原がミスパス。ペナルティエリアの右の角の外にいたチョイ・ユンにボールを渡してしまう。チョイ・ユンはすかさずゴール前のオ・セフンにクロスを入れる。後半に手こずった9番にヘディングで押し込まれ、とうとう日本代表は失点。試合の終盤に生まれた一瞬の隙を、韓国代表は見逃さなかった。

 それから88分の東俊希と原大智の同時投入も実らず、東アジアのライバルに0-1のスコアで敗れることになった。

 山田は振り返る。

「最悪、相手を疲れさせて、延長30分使ってでも1点取ればいいっていう自分たちのプランがあったので、PKの練習もしていたし、その中で中5日のアドバンテージをしっかり活かすっていう中で、あの失点だけがもったいなかったかなあ、と思います。

0-0で勝ってもいないし、負けてもいないっていう時に、少しふわっとしていたのかなあって、1点とったら勝てると思ってっていう中で、少ないチャンスでああやって決めてきて、最後はしっかりもう時間使って、ああいう勝負強さっていうところでは、少し韓国が上だったのかなあとは思います」

 左サイドを中心にタフに戦った16番は、敗因を「勝負強さ」や「泥臭さ」といったところに見出しているようだ。

「勝利への執着心というか、自分たちは上手くゲームを進めようっていうところにフォーカスし過ぎたかなあって思います。向こうはやっぱり前に前にって、ああやって1点泥臭く取って勝ち切っているので、今日は彼らの戦い方が良かったと思う。

そういう意味では、自分たちはもう少しゴール前で泥臭く決めたり守ったり、っていうところは、日本人らしさを捨てるじゃないですけど、もう少し海外の選手とやるのに、泥臭くゴールに決めるっていうところで、やっていかないといけないのかなあと思っています」

●U-20日本代表に足りなかったもの

 菅原は次のように振り返った。

「客観的に観ていたら優勢だったと思うし、チャンスもあったと思う。それはピッチ上で僕らも感じていた部分だと思う。ただやっぱり、チャンスが何度もあると頭の中にあってしまったことが。試合中の中で自分たちがボールを持っているからチャンスがあるだろうという考えになってしまっていて、アバウトなボールを入れてしまったり、もちろんそれも戦術的にはありだと思うんですけど、でも本当にこの試合の中でこの1つのチャンスに懸けるという情熱をボールに込められていたかと言えば、僕は込められていなかったと思うし、僕自身も込められていなかった。

(まだまだ)チャンスはあるからではなく、このチャンスでゲームを仕留め切って終わらせるということを思えなかった弱さを突き付けられた」

 山田と菅原によれば、目の前に転がってきたチャンスに対して躊躇わず、迷わず食い千切る獰猛な肉食獣のようなスタンスが、韓国にはあって、日本にはなかったということになるだろうか。 

 ポスト直撃のシュートを放った宮代は「決め切るところを決め切れなかったり、最後の詰めの甘さっていうのが、この試合で出たなと思います」と振り返った。

 東は、次のように端的に振り返っている。

「前半もしっかりボールを動かして相手も疲れてきたと思うんですけど、後半も自分たちがボールを保持していたけど、サッカーは点を取るスポーツなので、そこは強いチームだったら、その1点を守り切る力だったりがあると思うので、そこが足りなかったのかなと思います」

「サッカーは点を取るスポーツ」。その「点を取る」という最優先事項に対する認識の甘さが、U-20ワールドカップのラウンド16で、出てしまったのかもしれない。

(取材・文:本田千尋【ポーランド】)

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最終更新:6/5(水) 12:40
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