ここから本文です

マンガ愛は、海を越える。大英博物館「Manga展」

6/6(木) 12:36配信

T JAPAN web

大英博物館で開催中のマンガ展。日本国外では最大級となる展覧会の仕掛け人の熱い思いを聞いた

「意外かもしれませんが、日本のマンガはイギリスと無縁ではありません」。そう話すのは、『The Citi exhibition Manga』展のキュレーター ニコル・クーリッジ・ルマニエール。この展覧会は、日本初の職業マンガ家である北澤楽天、岡本一平から手塚治虫、鳥山明、萩尾望都、尾田栄一郎といった現代の作家までを取り上げ、日本マンガの成り立ちと独自の表現方法を伝えるもの。単行本や原画に加え、コスプレやコミックマーケットなどの資料、マンガに着想を得た現代アート、井上雄彦の描き下ろし絵画やスタジオジブリを取材したドキュメント映像と見どころも豊富だ。

展示のため岸本斉史の『NARUTO-ナルト-』の原画を手にすると――

しかしなぜイギリスの博物館でマンガ展を? その疑問に彼女は先のように答え、こう続けた。「たとえば、日本で初めて吹き出しを用いた『正チャンの冒険』はイギリスのコミック『Pip, Squeak and Wilfred』に影響を受けたと言われています。現代の作品にもイギリスの作家ルイス・キャロルの不思議の国のアリス』をモチーフにしたものも多い。マンガにはイギリスと日本の文化的な“交わり”が見られるのです。もちろん大英博物館も日本のマンガと深い関係がある。日本の視覚文化の系譜に連なる葛飾北斎や河鍋暁斎の作品を収蔵しており、近年はマンガの原画もコレクションに加わっています」

 実のところ、大英博物館はこれまでに二度、日本のマンガ家の原画展を開いている。2009年には、『宗像教授伝奇考』で知られる星野之宣の『宗像教授の大英博物館の大冒険』展を。これが評判を集め、2015年には星野之宣、ちばてつや、『聖セイント☆おにいさん』の中村 光という異世代の3人を取り上げた『マンガなう:三つの世代』展を開いた。こうした作家と博物館をつないだ立役者こそが、ルマニエールだ。

 彼女の本来の専門分野は、日本の陶磁器と考古学である。2006年から東京大学で客員教授として教鞭をとり、日本に3年ほど滞在。そこでマンガにハマったという。「はじめは日本語の勉強も兼ねていましたが、星野先生のマンガのように考古学や民俗学の視点が織り込まれた作品に出会ったのが、夢中になった大きなきっかけ。海外には、マンガで古代イギリスの文明を学ぶという考えはありませんから。これまでにもさまざまなマンガ家の先生とお会いしてきましたが、それぞれ研究者のように博学で、鋭い観察眼をもっている。会うたびに感銘を受けます」

1/2ページ

最終更新:6/6(木) 12:36
T JAPAN web

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事