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うつ病にケタミンがもたらす“治癒効果”が、マウスによる実験から見えてきた

6/6(木) 19:13配信

WIRED.jp

米国食品医薬品局(FDA)が今年3月、治療抵抗性うつ病の治療薬として、ケタミンの点鼻薬ヴァージョンであるエスケタミンを承認した。ケタミンがパーティードラッグとして使われていることはよく知られているが、ケタミンはそれ以上に麻酔薬として広く使用されており、世界保健機関(WHO)の「必須医薬品」リストにも含まれている。

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ケタミンがどのように麻酔効果をもたらすかは、よくわかっている。脳の中のある受容体に作用するのだ。しかし、ケタミンの抗うつ剤としての効果については、まだまだわかっていないことが多く、ほとんど闇の中といったところである。

しかし、そこにほんの少しの光がさしてきた。ケタミンを投与されたマウスの脳について興味深い発見が、『サイエンス』誌の4月12日号に発表されたのだ。

ケタミンの効果

うつ病に似た状態にするためマウスにストレスホルモンを与えると、マウスは樹状突起スパインを失う。樹状突起スパインとは、神経細胞(ニューロン)が信号を発信するのを助けるごく小さな突起のことだ。ところが、その12時間後にケタミンを投与すると、樹状突起スパインの約半数が再び成長した。

奇妙なことに、ケタミンを投与した直後にマウスの行動に変化が現れたことに研究者たちは気づいたが、それは実際にスパインの再成長を目撃するより約9時間前のことだった。この発見はケタミンの抗うつ効果を100パーセント説明できるものではないが、ケタミンによるもっと効果的な治療法を探る助けになるだろう。

まず、この研究者たちが、どうやって生きているマウスの脳の構造を顕微鏡で画像撮影したのかを考えてみる必要がある。その答えはもちろん、プリズムとレーザー光を使ったのだ。

プリズムとレーザー光は、脳の中の前頭前皮質と呼ばれる部分を標的にした。図で示したのが、それを画像化したものだ。研究者たちはマウスの脳の片側にプリズムを埋め込み、レーザー光を当てたときにプリズムではね返り、脳の反対側に当たるようにした。

プリズムの斜辺はレーザー光を反射する銀でコーティングされている。プリズムを埋め込むことで、マウスの脳のプリズムを埋め込んだ側は損傷を受けるが、画像化したい側には損傷を与えていない。

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最終更新:6/6(木) 19:13
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