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マンションの一室を購入…物置やトランクルームの「権利」は?

6/6(木) 13:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

一戸建ての特家住宅や賃貸住宅と並んで、ごく一般的な住宅となっているマンション。そのため、私法としても、「マンション法」は重要な法分野となっています。本連載は、早稲田大学法科大学院教授・鎌野邦樹氏の著書『マンション法案内 第2版』(勁草書房)より一部を抜粋し、マンション購入の基礎知識、居住地の財産関係をはじめとした法律問題をわかりやすく解説します。本記事では、「居住場所」以外の所有権について見ていきます。

Aさんは、最近、マンションの305号室を購入しました。廊下、階段室、エレベーターなどはマンション住人全員の所有で、305号室内の床、壁、給排水管などはAさんの所有であると聞いています。それでは、物置やトランクルームについては、どのような権利が発生しているのでしょうか。

「排水管の水漏れ」の責任を管理組合に追及した判例

◆建物の附属物と附属の建物

専有部分には、区分所有権の目的である「建物の部分」のほか、「建物の附属物」および「附属の建物」が含まれることがあります。住戸内にある水道管・水道設備や給排水管・給排水設備などは、「建物の附属物」です。

ところで、Aさんの居住するマンションには、地下に各住戸専用の6平方メートル程のトランクルームがあり、Aさんの家族も、普段はあまり使用・着用しない日用品や衣類等を収納したり、なかなか棄てることができない数多くの「思い出の品々」等を置いており、たいへん重宝しています。このようなトランクルームは、「附属の建物」に当たります。

●建物の附属物(給排水管等)

建物の附属物には、電気・ガス・上下水道・冷暖房等の配線・配管設備等があります。これらは、一般的には建物の構成部分となり建物と一体となるものですが(民法242条参照)、必ずしも建物の構成部分とはならないで、専有部分に属する場合と共用部分に属する場合とがあります。

建物の附属物が専有部分に属するのは、一般的に建物の専有部分の内部にあり、かつその専有部分の利用のために設置されている場合です。「住戸共通の水道管」と「その管から枝分したその専有部分のための水道管」については、一般的には、前者は共用部分に属しますが、後者は専有部分に属します(東京地判平5・1・28判タ853号237頁参照)。それでは、排水管についてはどうでしょう。

排水管の帰属に関しては、次の最高裁判決(最判平12・3・21判時1715号20頁・判解11事件)があります。区分所有者の一人(原告)が、階下の天井裏を通っている排水管から発生した漏水事故につき階下の区分所有者のために同排水管の修理を余儀なくされたことから、管理組合(被告)に対して同排水管が区分所有者全員の共用部分であることの確認と同修理費用の求償を求めました。

管理組合が、この部分の排水管は専有部分であるから原告の負担で修理するべきであると主張しましたが、原告は、この部分は共用部分であるから修理費用は本来、管理組合が負担すべきであると主張しました。

この事案では、このような排水管が区分所有法2条4項にいう「専有部分に属しない建物の附属物」として共用部分に当たるかどうかが争点となりました。第一審(東京地判平8・11・26判タ954号151頁)は、同排水管が所在する天井裏の空間を共用部分とし、同排水管は本件建物の附属物というべきであり、同法2条4項の共用部分と解して原告の請求を認めました(被告控訴)。

第二審(東京高判平9・5・15判時1616号70頁)は、同排水管につき点検・修理等のためには階下の居室に立ち入る必要があり、原告だけでそれを行うことは困難である等の事実を認定し、また、天井裏の空間は階下の専有部分に属するとしたうえで、「本件排水管は、特定の区分所有者の専用に供されているのであるが、その所在する場所からみて当該区分所有者の支配管理下にはなく、また、建物全体の排水との関連からみると、排水本管と一体的な管理が必要である」との理由で同排水管を共用部分としました(被告上告)。

最高裁も、これを支持して、「右事実関係の下においては、本件排水管は、その構造及び設置場所に照らし」共用部分であるとして上告を棄却しました。

配線配管について、標準管理規約は、「給水管については、本管から各住戸メイターを含む部分、雑排水管および汚水管については、配管継手および立て管」を共用部分の範囲(「共用部分の附属物」)とし、いわゆる「立て管」(「縦管」)から枝分した住戸内のその住戸専用の「枝管」(「横管」)は、「専有部分の附属物」としています。

まさに「標準」的な場合は、このように解してもよいと思いますが、上記の最高裁の事案のような場合には、このように解することは実際上問題があるので、当該住戸専用の「枝管」についても「共用部分の附属物」と解すべきでしょう。

ただ、筆者は、給排水管等については、それぞれのマンションにおいて、規約によって、専有部分・共用部分の範囲や修理等に関する費用負担について定めることができ、そのような定めがある場合には、基本的にその定めによるべきであると考えます。

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最終更新:6/6(木) 13:00
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