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東野幸治が描く“ガンバレルーヤよしこ伝説”「『ボウルいっぱいのきんぴらごぼう』でまひると意気投合」

6/6(木) 8:10配信

デイリー新潮

 東野幸治が仲間たちの秘話をつづる連載「この素晴らしき世界」。今週のタイトルは「どこかふざけてる女、ガンバレルーヤよしこ(1)」。

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 ガンバレルーヤといういま上り調子の女性コンビがいます。

 黒髪ロングのよしこと、金髪ショートのまひるは、共に頬をチークで強めのピンク色に塗り、決して美人とは言えない顔立ち(そもそも美人に近づこうともしていない)。しかも衣裳の色はお決まりで、ピンク色がよしこ、黄色がまひる。そんな外見なので、よく目立ちます。

 2人は不思議なタイプの女芸人で、ネタがめちゃくちゃ面白いわけでもなく、トークがめちゃくちゃ面白いわけでもない。でも番組にいたら2人の話にみんなが爆笑する。どこまでが本当の話なの!?と。そしていつの間にか、真相は分からないけれど面白いからオールOK! となっている。ガンバレルーヤはそんなコンビです。

 2人は吉本の養成所NSC出身ですが、出会いはNSCではありません。大阪のNSCに通うために引っ越したマンションで2人は出会います。

 ある日よしこがエレベーターに入っていくと、後に相方となるまひるが便秘からくる腹痛でうずくまっていました。

「大丈夫ですか?」とよしこが声をかけると、「便秘でお腹が……痛くて……」と苦しむまひる。けれど、よしこはまひるの部屋番号を聞き、去ってしまいます。

 あっけにとられたまひるは何とか部屋に戻ってしばらく横になっていると、よしこがボウルいっぱいにキンピラごぼうを作って持って来てくれました。

「ごぼうは繊維質が豊富だから、食べると便が出やすくなりますよ。キンピラごぼう多めに作ったので食べてください」そう言ってボウルを置き立ち去るよしこ……。まひるはボウルに入ったそのキンピラごぼうを食べ尽くしました。

 すると今までの便秘が嘘のように、詰まっていた便がいっぺんに出てきて、お腹の痛みも一気になくなりました。

 後日、お礼を言いに行くと、互いに同じNSCに入る準備中だと判明。意気投合した2人は仲良くなり、そのままコンビを組むことになったそうです。

 ……とここまで書いていて、私は感じます。こんな話、あります? どこか嘘くさいですよねぇ。でも、この嘘くささがお笑い芸人としてのとても大事な要素だと私は思っています。

 どこかふざけている。どこかナメている。どちらも芸人に必要な要素です。どこまでが本当の話なの? と聞いている人に思わせることが出来たら勝ちといっても良いでしょう。全てが本当の話でなくていいのです、面白ければ。ガンバレルーヤにはそれが備わっているのです。

 よしこの話に戻りましょう。

 まだ芸人としての仕事がない頃、よしこはスナックでアルバイトをしていました。チーママとして1人で店を任されることも多かったのですが、よしこ1人の時、カランコロンと店の扉が開いても、カウンターに立つよしこを見た途端にお客さんは再び扉を閉めて帰って行く……。そんなことが頻繁にあったそうです。

 店のママから、「今までは週3の遅番だったけど明日から週1の早上がりでいいわ」と告げられたよしこ。早上がりは18時から20時までの2時間出勤で、扉が開いてもおしぼりやお酒の業者が来るぐらい。お客さんはほぼ来ません。つまりは開店準備をするためのアルバイトに格下げに。

 一度見せてもらった早上がりの写真には、一人寂しく笑う、完全に笑いを取りに行ってるよしこが写っていました。(続く)

東野幸治(ひがしの・こうじ)
1967年生まれ。兵庫県出身。東西問わずテレビを中心に活躍中。著書に『泥の家族』『この間。』がある。

「週刊新潮」2019年5月30日号 掲載

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最終更新:6/6(木) 8:10
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