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更年期の「ホルモン補充療法」1週間で7割が症状改善

6/6(木) 9:58配信

日経ARIA

日本人女性の閉経中央値は50.5歳。その前後5年ずつ、45~55歳が更年期と呼ばれる時期ですが、仕事の責任が増え、キャリアの充実期にも重なります。中には、更年期症状が原因で昇進を諦めたり、退職を選択したりする人も。キャリアの大事な時期を乗り切るためにも「ホルモン補充療法がおすすめ」というイーク表参道副院長で産婦人科医の高尾美穂さんに「ホルモン補充療法」のメリット、デメリットを聞きました。

【関連画像】治療を始めるタイミングや症状によって選択肢は異なる

―― 更年期症状で来院するARIA世代の患者さんの症状はどんなものが多いですか。

高尾美穂さん(以下、敬称略) イライラや落ち込み、涙もろくなる、緊張が強いなど、メンタル面のコントロールがうまくいかずに相談にやって来る患者さんが多いなと感じます。「なんとかして生活の質を上げたい」という相談ですね。

 更年期障害の治療の第1選択はホルモン補充療法(HRT)です。必要最小限の女性ホルモンを足してあげることで、更年期の変化を緩やかにするもので、1週間で75%のホットフラッシュが改善する(※)ほど、とても良く効きます。

(※)Cochrane Database Syst Rev. 2004 Oct 18;(4):CD002978

ホルモン補充療法は3カ月に1回ペースで通院、保険適用

 エストロゲンとプロゲステロンが配合された経皮吸収タイプの製剤や塗るタイプのエストロゲンが主流で、おなかや腰回りに貼って、3日に1回新しいものに交換します。通院は3カ月に1度ペースで、保険が適用されます。

 HRTで補充するエストロゲンの量は、これまで自前で分泌されていたエストロゲン量の1/3程度なんです。意外と少ないでしょう? ほんの少し足してあげるだけで更年期のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)がぐんと高まるので、更年期症状が原因で昇進を断ったり、退職したり、なんてもったいない話。一人で悩まず、婦人科に相談してほしいと思います。

●「ホルモン補充療法=がん」の認識は早計。むしろメリットが上回る

―― 有効な治療法ながら、日本では更年期世代の1.7%しかHRTを受けていないと聞きました。なぜでしょうか。

高尾 2002年にアメリカのWHI (Women's Health Initiative)が「HRTが乳がんリスクを上げる」と報告して以降、副作用が過剰に報道され、世界的にもHRTを受ける人が減少しました。しかし、この研究の対象者は日本の更年期女性には該当しないことが分かりました。

 その後、日本で行われた研究によって、飲酒などの生活習慣によるリスク上昇と同等かそれ以下で、5年以上のHRTの使用で乳がんリスクが0.03%上昇する(1万人に対して3.8人)と分かりました(※)。この数字は、ほとんど心配ありません。また、HRTをやめればリスクは消失します。

(※)JAMA. 2002 Jul 17;288(3):321-33

 よって、HRTは「○年間までなら投与してよい」といった期限が決められていません。骨や血管、肌の若さを保つ目的で、欧米では10年以上HRTを行っている人も多くいます。

 子宮体がんに関しては、HRTでリスクが下がることも分かっています(※)。日本でも最近は、心臓・血管の病気や骨粗しょう症などの予防になるメリットが見直されてきています。更年期症状に特に困っていない人でも、骨密度増加による骨粗しょう症の予防目的でHRTを受ける人が増えています。その場合でも保険適用となります。

(※)Obstet Gynecol. 1995 Feb;85(2):304-13

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最終更新:6/6(木) 9:58
日経ARIA

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