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「初夏の北海道物産展」をスーパーマーケットがやってはいけない理由

6/7(金) 5:00配信

商業界オンライン

  今年も全国の百貨店(北海道を除く)では、タイトルの差はあれ「初夏(春)の北海道物産展」が多数開催され、大変な人気でした。初夏(春)に開催される「北海道物産展」が恒例催事化してきています。

 元来、「北海道物産展」はその年の秋に収穫された野菜や新鮮な魚介類など生鮮品を北海道各地から直送し即売する催事でしたから、開催時期は秋でした。しかし、今では生鮮品の直送は物流の発達によって年間を通じて全国から可能になりました。雑誌もマスコミも毎日のように「食」に関わる情報を提供し、「一億総グルマン時代」になった結果、北海道の生鮮品産地としての魅力は大幅に低下してと思います。

 それにより、「北海道物産展」は、旬の食材を提供する催事から、食の楽しさやワクワク感を提供したり、SNSを通じて情報発信する催事に大きく変貌したと思います。

なぜ春から初夏に開催されるようになった?

 今年の「初夏(春)の北海道物産展」は、首都圏では3月末に開催された西武池袋店から始まり、4月はそごう横浜店など、5月末まで含めるとほぼ全ての百貨店で開催されました。名古屋ではジェイアール名古屋タカシマヤが3月上旬に開催しました。関西圏(京都、大阪、神戸)も九州(福岡、鹿児島)でも初夏に「北海道物産展」が開催されています。

 なぜ、初夏(春)に全国の百貨店が、生鮮品の旬食材が少ない、つまり売り込む食材が少ない時期に「北海道物産展」を開催するのでしょうか。単純に「北海道」と冠が付けば売上げが伸びるとか、「北海道物産展」は季節に関係なく、いつでも集客できる催事だからという要因だけでは、恒例催事にはなりません。

 これを食品のバイヤーの立場で考えてみます。

百貨店で人気だからとスーパーマーケットでやってはいけない! 同じ小売業でも業態ごとに特徴があります。極端にいえば、百貨店とスーパーマーケットは全く別の特徴があると考えた方が理解しやすいと思います。小売業の特徴をまとめたのが次の表です。

  百貨店は、独自の消費スタイルを提案します。食材も消費スタイルを形成する1要素です。従って、旬の食材が少ない初夏(春)でも、北海道からイメージされる消費スタイルを提供できればよいことになります。つまり、スイーツに人気が集中すればスイーツを強化する。特定の地域(今年は十勝地方)に人気が集中すれば、その地域の食材と商材を強化することで、百貨店では催事を成功させられるわけです。

 また、百貨店の信用力は生産地域の活性化にも大きなプラスになります。有名百貨店とのビジネスをマスコミに情報発信してもらえれば、地元中心のビジネスを全国区に拡大できるチャンスとなるので、収穫期の旬食材を提供できない北海道の生産者にとっても「初夏の北海道物産展」は魅力の大きな催事となっているのです。この時期の物産展のチラシで主役となるスイーツと惣菜、乳製品、ハム・ソーセージのメーカーは、このように百貨店とWin-Winの関係を構築できているわけです。

 一方、スーパーマーケットは、日常生活に必要な食材を毎日、安全に、安心できる価格(廉価)で提供することを目的にした小売業態であり、食材の消費スタイルを提案することはありません(やってはいけない)。そのため、収穫期の旬食材が少ないこの時期に「北海道フェア」を行っても魅力はなく、売上増にも集客増にもつながらず結果としてロスを増やすだけです。百貨店で大人気だからと、スーパーマーケットでも人気の企画になることはないわけです。

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最終更新:6/7(金) 5:00
商業界オンライン

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